米シルバーゲートが業務停止・清算へ

経営危機が高まっていた米の仮想通貨金融企業・シルバーゲートが、8日になって仮想通貨銀行の業務を停止し任意清算の道を選んだことを発表した。経営危機になったきっかけはFTX破綻後に仮想通貨市場が低迷し多くの顧客が出金したためと言われ、FTX破綻に始まった仮想通貨業界の連鎖倒産はまだ続いていることになる。

3日には決済ネットワーク停止

　仮想通貨に特化した金融機関として業務を続けてきたアメリカの・シルバーゲート（銘柄コード：SI）は、ここ数ヶ月で急激に経営が傾いていた。なおシルバーゲートは、メタ（旧Facebook）が開発を進めてきた仮想通貨「ディエム（旧リブラ）」が挫折した2022年1月に、ディエムの決済システムを購入した企業でもある。

　シルバーゲートの経営が傾いたのは、昨年11月のFTX破綻が大きな原因であった。FTX破綻によって仮想通貨市場に不安が高まったため、多くの顧客がシルバーゲートから出金を要請。昨年末時点の顧客資産は38億ドル（約5,150億円）で、9月末時点の3分の1にまで激減した。

　同時に全社員の約40％にあたる200人のリストラを発表し、リストラと顧客資産激減の発表が出た1月5日には株価が43％も大暴落した。

　そして3月1日には日本の有価証券報告書に該当するアメリカの「年次報告書」を、期限通りに提出できないことが発表された。この時点でシルバーゲートの経営に対する不安が大きく高まり、その直後から大手仮想通貨取引所のコインベースなど多くの取引先がシルバーゲートとの取引を停止した。

　経営不安の高まりによって、2日のNY市場では同社の株価は58％も大暴落した。さらに3日には自社の仮想通貨決済ネットワークを停止することを発表。理由は「リスクに基づく決定」と述べられていた。

　そして8日（日本時間9日早朝）になり、ついに仮想通貨の銀行業務を停止し、任意清算を決定したと発表された。なお今のところ、米企業の倒産でよくある連邦破産法第11条の適用を申請したとは発表されていない。

　シルバーゲートの株価は3月2日の大暴落で上場後最安値の5.72ドルまで下がったが、その後も続落し8日の終値は4.91ドルだった。しかし日本時間9日早朝の清算の発表を受け、時間外市場でまたも50％近く暴落し2ドル台をつけている。

　また仮想通貨市場もこのニュースに売りで反応した。シルバーゲート発表前には302万円だったビットコインは、清算が発表された直後に数万円下落。その後も9日日中から夜にかけて下げが続き午後8時頃には295万円をつけた。

　FTX破綻の余波でこれまでBlockFi（ブロックファイ）やGemini（ジェミニ）といった仮想通貨企業が倒産してきたが、今度はシルバーゲートとなった。FTX破綻の影響はとてつもなく大きい。