米で炭酸飲料が10年連続販売減でコカコーラの将来は？

　アメリカの飲料業界誌「ビバレッジ・ダイジェスト」が行った調査によると、アメリカにおける炭酸飲料の販売は2014年まで10年連続の落ち込みを見せた。炭酸飲料を主力商品としているコカコーラのような企業は、今後の戦略を考えなくてはいけない時期に来ている。

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ローカロリー飲料も売上不振

　「ビバレッジ・ダイジェスト」の調査によると、2014年のアメリカ国内における炭酸飲料の販売数は、1ケース＝約5.7リットルのケースが、88億ケースだった。これは前年比0.9％減で、2004年を起点として10年連続減少している。

　炭酸飲料の減少傾向は、消費者の健康志向の高まりが原因と見られている。炭酸飲料には全体的に糖分が多い商品が多く、それが特にアメリカで問題になっている肥満の原因になるためだ。

　しかもこの傾向は、ローカロリーを謳った商品にも広がっている。コカコーラにはダイエットコークというカロリーを抑えた飲料があり、これは日本でも売られているので知っている人も多いだろう。

　ところがダイエットコークも、2014年には売上が6.6％落ちている。この数字は炭酸飲料全体の0.9％減より遥かに減少幅が大きい。ダイエットコークが避けられ始めているのはカロリーの問題ではなく、使用されている人工甘味料・アスパルテームが、体に良くないのではないかという認識が広がっているためだ。

　コカコーラはアスパルテームやダイエットコークの安全性を理解してもらうために、2013年夏に全米で広告キャンペーンを開始したりもした。ただアスパルテームの安全性については、単に漠然とした不安だけではなく、医療関係者が疑問を呈しているのが事実。それがアメリカにおける売上減につながっているのは確かだろう。

　では人工甘味料がダメなら植物由来の甘味料ということで、コカコーラは去年夏から植物由来の甘味料であるステビアを使った「コカコーラ・ライフ」、通称「緑のコーク」を販売している。これは今年3月9日から日本でも販売されているので、すでに店頭で見たことがある人も多いと思われる。

　このような健康志向に合わせた商品や、炭酸を使わない商品をどんどん投入することで、コカコーラは今後の生き残りを模索している。コカコーラ株の長期的な動きを見ると、ここ2～3年でもあまり上昇していない。最近2～3年はダウ工業平均やS&P500指数が史上最高値を更新し続けていた時期で、それに比べるとコカコーラ株のパフォーマンスは悪いと言わざるを得ない。今後株価が伸びていくためには、大胆な戦略の転換が必要なのかもしれない。