米で新たな仮想通貨銘柄・Geminiが上場

仮想通貨取引所を運営する企業のGemini（ジェミニ）が、先週12日に米のNASDAQ市場に上場。場中に一時は売り出し価格・28ドルより60％以上高い45.89ドルをつける好調な滑り出しとなった。

経営者が双子の兄弟

　アメリカではトランプ政権が仮想通貨に好意的な政策を次々と実施しているため、今年になってから仮想通貨市場は上昇。そして取引所のコインベース（銘柄コード：COIN）に代表される米国株式市場の仮想通貨銘柄も上昇している。

　このような状況なので、仮想通貨業界各企業のIPO（新規上場）に対する意欲は高い。そして先週の12日金曜に、また新たな企業が上場に成功した。

　その企業はGemini（ジェミニ）という企業で、正式名称は「Gemini Space Station」という。また日本語の記事ではカタカナ表記を「ジェミナイ」と記載しているところもある。なお正式名に「スペース・ステーション」とあるが、現在のところ宇宙開発事業は行っていない。

　また社名のGeminiとは「双子」あるいは「ふたご座」を意味する言葉。創業者がタイラー・ウィンクルボスとキャメロン・ウィンクルボスという双子の兄弟のため、社名をGeminiと名付けたようだ。

　Geminiは2014年5月にニューヨーク市で創業され、その後順調に仮想通貨取引所業務を拡大してきた。そして直近の2024年12月期の売上高は1億4000万ドル（現在のレートで約200億円、以下同じ）、純損益は1億5800万ドル（約230億円）の赤字だった。

　直近で赤字決算ではあるが、アメリカではこのような決算でも上場する企業は多くある。Geminiは今年になってNASDAQに上場を申請して承認され、そして先週の9月12日金曜に上場初日となった。銘柄コードは「GEMI」。

　Geminiの売り出し価格は28ドルであった。そして上場初値は売り出し価格より32％高い37.01ドルで、初値後に急上昇して64％高の45.89ドルをつけた。だがこれがこの日の高値となり、その後株価は急落して終値は32ドルと売り出し価格比14％高だった。

　Geminiは今回上場までたどり着けたが、ここに来るまでには前ゲンスラー委員長時代に仮想通貨業界に対して厳しい姿勢で臨んでいた、SEC（証券取引委員会）の攻勢を受けていた。

　2023年1月には、Geminiが取り扱う一部の仮想通貨は有価証券であり、同社が提供する「アーン」サービス、つまりステーキングやレンディングなどを通してインカムゲインを得るサービスが違法だとして提訴した。また2023年4月には違法行為に対する捜査も開始した。

　しかし今年になってゲンスラー委員長が退任したことでSECの仮想通貨業界やGeminiに対する態度は軟化し、2月末には捜査を全て完了してそれ以上の処罰などはないことを明らかにした。また訴訟もすでに終了の方向に向かっている。

　上場にあたり、経営者のウィンクルボス兄弟は「ビットコインは今後10年以内に100マンドルをつける」と強気な予想を示していた。仮想通貨市場が盛況なだけに、今後はGeminiに続き上場する企業も複数出てくるのではないだろうか。