米がベネズエラから石油輸入国への関税を発表

就任以来次々と関税政策を発表しているトランプ大統領が、週明け24日になってベネズエラから石油と天然ガスを輸入している国に対し25％の関税をかける政策を発表した。この発表を受けて原油価格が上昇した。

日本への輸出はなし

　1月20日の就任以来次々と関税政策を打ち出して金融市場を動揺させているトランプ大統領だが、今週明けにまた新たな関税政策を打ち出した。南米のベネズエラから石油あるいは天然ガスを輸入している国に対し、4月2日から全てのアメリカに輸出される品目に25％の追加関税をかけるというものだった。

　トランプ大統領はこの政策の理由について、「ベネズエラは多くの犯罪者を米国に送り込んでいるため」と説明した。トランプ大統領はつい先週に、大戦中に米国内の日系人を収容するために発動した法律「敵性外国人法」を発動させ、アメリカ国籍を持っていない14歳以上のベネズエラ人のギャングメンバーを拘束・送還する行動を開始した。

　今回の石油輸入国に対する関税政策も、ベネズエラから来ていると言われるギャングメンバー対策と見られる。ではこの政策で影響を受ける国はどこになるのか？

　まず日本に影響があるかだが、日本はベネズエラから石油を輸入してない。日本の石油輸入元は中東諸国が90％以上で、特にサウジアラビアとUAE（アラブ首長国連邦）で約80％を占めている。

　一方日本のLNG（液化天然ガス）の輸入元はオーストラリアが最大で、それ以外ではマレーシアやカタール、アメリカなどがあるがベネズエラは入っていない。したがって日本がこの関税の対象になることはない。

　では逆にベネズエラが石油を輸出している相手はどこなのか？最大の輸出先は約70％を占める中国で、それに次ぐのがアメリカの20％強。そしてキューバとスペインが数％ずつとなり、この4ヶ国でほとんど全部となる。

　アメリカが自国に関税をかけることはできないので、実際には中国、キューバ、スペインが対象となる。ベネズエラからの天然ガス輸出量は大きくないのでここでは割愛する。

　トランプ大統領はこの政策を日本時間の24日夜に発表。発表後はNY原油が小幅に上昇して一時は69ドルを超えたものの、大きな動きにはならなかった。

　今回の関税の発動は4月2日と発表された。4月1～2日にかけてはアメリカが関税を発動するだけではなく、EUがアメリカ産のウイスキーや二輪車にかける関税も発動される。さらに3月に1ヶ月延期とされたカナダとメキシコに対する追加関税も2日発動になる。4月初頭には金融市場もかなり波乱の展開になるかもしれない。