最近香港でデモがまた拡大し、米中対立の象徴都市として世界の注目を集めている。香港には中国の人民元とは別通貨として香港ドルという通貨があるが、この通貨が今度どうなっていくのか改めて検証してみよう。
去年の6月頃から半年ほど続いた香港のデモ活動だが、今年になってからCOVID-19(新型コロナウイルス)の大流行のために一時下火となった。
しかし5月22日から開かれた中国の全人代(日本の国会に相当)で、香港に対する締め付けを一段と強化する法案が提出されたためデモが再び激化。この法案は5月28日に成立し、米中関係の新たな火種となっている。
政治的な話は置いておき、香港の通貨・香港ドルについて改めて見てみよう。香港は1997年にイギリスから中国に返還され、中国の一部となった。だが返還後50年は「一国二制度」を続けるという合意の下、通貨も本土の人民元とは別の香港ドルを維持することとなった。
そして香港ドルは変動相場制ではなく、米ドルにペッグ(連動)しているという特徴がある。ペッグとは特定の通貨(多くは米ドルかユーロ)に対してレートを固定する制度で、途上国など単独では弱い通貨が通貨価値を安定させるために採用している。
すでに述べたように香港ドルは米ドルにペッグされており、レートのレンジは1米ドル=7.75~7.85香港ドルと決められている。それはどういうことかというと、定められたレンジから外れそうになった場合、香港の通貨当局が介入してレートをレンジ内に是正する。
1米ドル=7.75香港ドルはこのレンジの上限(香港ドルが最も高い)なので、この水準を越えそうになったら当局は香港ドル売り、米ドル買い介入でレンジを維持する。逆に7.85香港ドルはレンジの下限(香港ドルが最も安い)なので、越えそうになったら当局は香港ドル買い、米ドル売りで対抗する。
ここ最近の米ドル/香港ドルのレートを見ると、2018年春~19年秋までは下限の7.85香港ドル付近で推移していることが多かった。ところが今年になってからは香港ドルが上がり、4月には一時上限の7.75香港ドル付近になった。
今年の香港ドル高は、米と香港の金利差が拡大したためと見られている。米ドルにペッグしているため、香港の政策金利は米政策金利と常に同時に上下させてきた。例えば米の政策金利が2.25~2.5%の時は、香港の政策金利は2.75%だった。そして米が0.25%利下げをすると、香港も同じ幅だけ利下げをする。
ところが今年になって米ドル大きく利下げをして0~0.25%にしたにも関わらず、香港の政策金利は4月以降0.86%とこれまでより米との金利差がやや大きいままにされている。これが香港ドルが上昇している一因になっていると見られる。
とはいえ、米ドルとのペッグ制は今後よほど大きな香港ドルの売り圧力または買い圧力が来ない限り維持されるだろう。しかし問題は「一国二制度」の終了後にある。「一国二制度」は香港返還後50年維持されるという合意のため、2047年には終了する。そうなると香港ドルは廃止され、人民元に統一される可能性が高い。
また中国が約束通りに2047年まで香港ドルを残すという保証もない。実際に5月に全人代を通した法案は、「一国二制度」の合意に反するような内容だった。今後2047年を待たずにして香港ドルが廃止される可能性も、十分考えなくてはいけない。
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