減産延長以外で原油価格を支えられなくなった産油国

長引く原油価格の低迷に対処するため昨年11月に産油国が減産で合意。そして今年になってから実行された。しかし減産が実行されても原油価格は55ドルを超えることはできず、4月以降になって逆に下がってきた。

リビアの生産が回復

原油価格は2011～13年頃には100ドルを超えるほど高騰していたものの、2014年後半から急落。その後はずっと30～50ドル付近で低迷が続いてきた。原油安が長引いたため、産油国はどこも経済的に低迷。特にベネズエラなどは、庶民が食べ物を手に入れることもできないほど困窮するようになった。

最初は減産の足並みが揃わなかった産油国だが、原油価格が一向に上向かないため、ついに昨年11月のOPEC総会で合意。今年の前半に、日量120万バレルほどの減産をすることになった。

そして今年になって減産が実行され、各国とも合意内容を順守していた。だが1～2月の原油価格は52～55ドルで横ばいで、それ以上の上昇は見られず。この時点から産油国にとっては期待外れ感があったと思われる。

3月になると原油は50ドルを割って下落。4月前半に一旦持ち直したものの、後半以降になるとさらに売られ日本が連休中の5月初頭には43ドル台まで下げた。これはOPEC総会前の水準となる。

原油価格を見る限り、すでに減産の価格押し上げ効果は切れてきている。現在の減産合意は今年の6月までとなっているので、原油価格を下支えするには7月以降も減産を延長することが必須の状況になってきた。

原油価格が下落してきているのは、リビアの生産が伸びていることも一因と見られている。リビアは最近まで武装勢力が石油設備を占拠するなどして生産が滞っていたが、それが回復してきた。

リビアは有力な産油国だが、武装勢力のために本来の生産量が確保できていないという理由から、減産合意には加わらなかった。それが最近になって回復してきたという事情なので、産油国にとっては厳しい。

結局は7月以降の減産延長くらいしか、原油価格を下支えする手段はない。一部の産油国は延長に積極的な姿勢を見せており、サウジアラビアの高官は最近になって、来年以降も延長する用意があると発言した。

しかし延長するにしてもすでに5月になっており、残された時間は1ヶ月半程度しかない。その間で産油国が減産延長で合意できるとは限らず、産油国にとっては厳しい日々が当分続くと思われる。