株式市場はこれから本格的な下落トレンドへ

COVID-19のパンデミックを懸念して株式市場は2月下旬から暴落していたが、3月下旬になって一旦止まった。しかしこれで株式市場が上昇トレンドに戻るという可能性は極めて低く、むしろこれからが本格的な下落トレンドになると予想できる。

問題はCOVID-19がいつ終わるか

COVID-19（新型コロナウイルス）の懸念が2月下旬になって一気に爆発し、株式市場では歴史的な大暴落となった。しかし3月下旬になると米政府が2兆ドル規模の経済対策を成立させたことで、地合が転換し株式市場は一旦落ち着いた。

しかしこれで株式市場が今後また上昇トレンドに戻るという可能性はほとんどない。まず大本の原因であるCOVID-19は日本でも世界でも拡大が続いており、最近世界の感染者数がついに60万人を超えた。

おそらく株式市場は今後本格的な下落トレンド入りしていくことになる。リーマン・ショック以降、世界の株式市場は全体的に見ると上昇トレンドが続いてきた。NY株式市場は2009年春に早々と底打ちし、その後11年近くも上昇してきた。また東京株式市場は民主党時代に低迷していたものの、安倍政権になってから7年以上上昇トレンドが続いた。

だが世界の株式市場は2020年2～3月の暴落をもってトレンド転換し、下落トレンド入りした。これはほぼ確定事項だろう。

下落トレンドと言っても、一本調子で毎日下がり続けるわけではない。緩やかな下落が続くこともあれば、2～3月のような暴落が起こることもある。中には1～数ヶ月程度調整的な上昇が続くこともある。しかし長期的に見れば下げに向かうのが下落トレンドだ。

問題は下落トレンドが今後どの程度の期間が続くかだが、もちろん正確に予想できる者など誰もいない。しかしある程度の見通しを考えてみることはできる。

今回の下落はCOVID-19によって引き起こされているのは間違いない。感染を防止するために世界各国であらゆる人々の移動や接触が禁止され始めており、人々の移動や接触を禁止するということは、普通の経済活動が一切できない。

そうなると多くの業種で企業の業績は大きく悪化する。企業業績が悪化すればその企業の適正価格は下がり、割高になって売られやすくなる。また国全体あるいは世界全体で企業業績が悪化すれば、それは「不況」と言われる。

これから日本や世界は不況入りするのは確実で、株式市場の下落も不況が続く限り止まらない。逆に言えばCOVID-19の流行が終われば、各国はまた正常な経済活動を行うことができ、株式市場の反転も見えてくる。

ただしそれがいつになるのかが問題だ。今のところCOVID-19の拡大の勢いはすさまじく、あと数ヶ月程度で収まるとはとても思えない。いや、収まったとしても各国は最低数ヶ月は警戒を解くことができない。だから今すぐパンデミックが収まっても、正常な状態に戻るには数ヶ月はかかる。

実際にはパンデミックそのものもあと半年～1年は続くと思われるので、世界的な不況と株の下落トレンドも1年前後は続く可能性が高い。むしろ1年で終わればラッキーな方で、下手をしたら数年続くこともありえる。

しかし世界にとっての希望はワクチンにある。COVID-19のワクチンができ上がれば、少しは事態が好転すると見られている。ワクチン開発には時間がかかるが、早ければ来年にもでき上がると予想されている。

ただしワクチンだけで全てが片付くわけではない。ウイルスは変異をしてワクチンが効かなくなることもある。また先進国はワクチンで収束したとしても、途上国にまでワクチンが行き渡るとは限らない。途上国には大量のワクチンを輸入するお金がない国もあるし、先進国も多くをタダで与えるわけではない。

株式市場の下落トレンドはまだ始まったばかりであり、すぐ終わると考えるのは楽観的過ぎる見通しだろう。