株式取引における指値注文の約定条件いろいろ

　現在では株式取引などの指値注文には、FAS、FAK、FOKといくつかの約定条件が選べるようになっている。証券会社から注文を出す場合に選べるのだが、このようにアルファベットで書かれると分かりにくいと思う人も多いかもしれない。

一部約定した場合の処理が違う

何年か前まで、指値注文にこのような約定条件はつけられていなかった。成行や指値といった注文の種類を選び、あとは指値の値段を入れればそのまま注文を出すことができた。それが数年前に、FASなどの約定条件が導入されたのだ。

この約定条件は注文の幅を広げてくれる反面、慣れない人には戸惑わせるものでもある。やはり漢字ではなくアルファベット3文字で書かれているのが、日本人にとって分かりにくい点だ。そこで指値注文の約定条件について、ここで解説してみよう。ちなみに約定条件は指値注文だけではなく、逆指値など他の種類の注文に使われることもある。

最初にFASについて話すと、これは「fill and store」の略語になる。FAS条件は、指値注文の内一部が約定した場合に、残りを市場に残しておく条件のことだ。実はFASは約定条件が導入される前、昔からある指値注文と全く同じものだ。約定条件が分かりにくかったら、とりあえずFASを選んでおけば間違いない。

次にFAKだが、これは「full and kill」の略。FAK条件は、株価が指値に到達して約定した場合、一部が約定したら残りの注文をキャンセルする。100株を1万円で買うという指値を入れて、1万円で1度に50株しか約定しなかったら、残りの50株分をキャンセルする注文だ。この条件は、ともかく一部だけ約定したら残りを一旦キャンセルして考え直したい場合などに使える。

最後にFOKは、「fill or kill」の略。FOK条件は、指値で一度に全ての注文が約定しない場合、全てをキャンセルするための条件。前の例で言えば、100株を1万円で買うという指値注文をFOK条件で出し、1万円で1度に50株しか約定できない見通しだったとする。その場合、50株を約定させずに100株分全てをキャンセルするのがFOKだ。

FOKの使い道と言えば、市場の終了近くになって指値を出した場合、一部だけが約定して翌日に残りを持ちこすよりは、全てキャンセルしたい場合などがある。

ただ基本的にFAKやFOKは使わなくても取引は十分できる。すでに述べたように、昔はこのような約定条件はなく、全ての指値注文が現在で言うFAS条件だった。だからFAS条件をいつも選んでいても問題はない。

これらの約定条件は知らなくても株式取引ができるが、知っていればさらに選択肢が広がるだろう。