株価低迷のメタプラネットが戦略転換で起死回生を狙う

BTC購入のために大量に発行した新株予約権が行使されているため、6月後半以降メタプラネットの株価が低迷している。この状況を打開するため27日に同社は新株予約権の行使停止や海外における公募増資などを発表して、この日の株価は5.7％上昇した。

社債の繰上償還も発表

　メタプラネット（銘柄コード：3350）は、今年の東証で最も話題になっている銘柄の1つと思われる。同社は1999年創業でもともとはホテル業を行っていたのだが、2024年にビットコイン購入を基幹事業とすると発表。これが投資家に歓迎され、2023年当時は10円台で低迷していた株価が暴騰して今年6月19日には1,930円と2年前から約100倍にもなった。

　しかし暴騰は永遠には続かず、6月19日をピークにその後株価が低迷している。低迷の大きな原因となったと思われるのが、「555ミリオン計画」で発行した大量の新株予約権がすでに多く行使されていると発表されたこと。

　「555ミリオン計画」とは、5億5500万株の新株予約権を発行した資金で、ビットコイン総発行量の1％にあたる21万枚の購入・保有を目指す計画。新株予約権の引き受け先はEVO FUNDというファンドだった。

　ところが新株予約権は6月24日から行使可能になっていたのだが、EVO FUNDは初日から5,400万株と全体の約10％もの行使を行った。この事実がIRを通して公表されると、翌25日の東証ではメタプラネット株が一時20％も暴落した。

　25日はなんとか反発して終了したものの、EVO FUNDがその後も行使を続けていることから株価は下げが続き8月20日には一時801円をつけた。

　この水準まで下がると、問題の「777円」のラインが見えてくる。この777円が新株予約権の行使下限価格として設定されており、株価がここを下回ると行使して売ったとしてもEVO FUNDにとっては損失となってしまう。したがってこのラインはなんとしても死守しなければいけない価格だった。

　しかし20日の後も株価は800円台で低迷しておりなかなか反発することができなかった。そこで27日になってメタプラネットは方針の大幅転換を発表した。

　まず残りの新株予約権について、9月3日から同月30日までの18営業日で行使を停止と発表。なおこれを発表した27日の時点で残りの新株予約権は4億600万株となっており、すでに約1億5000万株もの大量行使が行われたことになる。

　そして海外市場において、新たに5億5500万株分の株式を公募増資を通して売り出すことを発表した。この公募増資は9月に行われ、売り出し価格は直前の市場における終値から計算されるので現在のところは未定とされた。

　さらにこれまで発行してきた社債のうち、52億5000万円分を繰上償還したことを発表した。

　これら一連の発表を好感して、27日の東証ではメタプラネット株は5.7％上昇して890円で終了した。とはいえメタプラネットは9月1日に株主総会が控えており、株価が低迷している現状では株主に厳しく糾弾されるのは必至だ。27日に発表した一連の措置は、株主総会において批判をかわす意味もあったと思われる。

　9月には新株予約権の行使が停止することで株価は一時的に持ち直すかもしれないが、10月になるとまた行使が再開される。メタプラネット株は6月19日以前のような上昇トレンドに戻れるだろうか。