東証がシステム障害で終日売買を停止

東証で株式市場が始まる10月1日午前9時直前になってシステム上の障害が見つかったため、全銘柄の売買停止を発表。そして停止は本来市場が閉まるはずの午後3時頃まで解除されなかった。東証全体が終日売買停止になったケースは最近でもほとんど見られない。

アローヘッドに障害と発表

　10月1日は2020年の第4四半期が始まる日で、日本にとっては4～3月の年度後半が始まる重要な日でもあった。そして前日・30日のNYダウは329ドル高と上昇し、1日の東京市場では前日の下げからリバウンドするとの期待がかかった。

　しかし1日の株式市場が始まる直前の午前8時54分に、東証は「相場情報の配信に障害が発生」したことを理由に、全銘柄の売買を停止すると発表した。発表当時から再開時刻は未定とされていた。

　そのまま再開のメドが立たず、正午頃には「終日売買停止」と発表。1日の取引時間終了までに復旧できないことが明らかになった。

　結局障害の全容が明らかになったのは、夕方になってからだった。東証からの発表によると、現在稼働している取引システム「アローヘッド」の不具合が原因だった。アローヘッドには「共有ディスク装置」と呼ばれる記憶装置が2台あるが、その1台でメモリ故障が発生した。

　本来であれば1台故障すればもう1台の方に切り替わるのだが、切り替わりも上手く行かずに結局不具合からリカバリーができなかったという。そのまま午前8時54分には売買停止が発表されたとのことだった。

　東証でシステム障害によって大規模に売買が停止することは非常に珍しい。最近の例では2005年11月1日に、早朝に発生したシステム障害によって前場は全銘柄が取引停止となった。しかしこの時は終日売買停止ではなく、後場時間中に復旧できた。

　またその直後の2006年1月18日には、引け近くの午後2時40分以降に全銘柄の取引停止が発表された。ただしこの時は原因が比較的明確だった。日本では2005年前後に株ブームになったため、それ以前と比べて注文の数が激増した。

　そして06年1月16日にはライブドアが強制捜査を受けて株価が暴落する「ライブドアショック」が発生。その混乱のために注文件数がさらに増え、当時の東証のシステムの限界だった1日450万件に近付いた。450 万件を超えるとエラーになるので、18日には超える前に東証が自主的に売買を停止。この時は翌19日から約3ヶ月間、システム保護のために後場が30分繰り下げられて午後1時開始とされた。

　さらに最近の2018年10月9日には、取引時間開始前に外資系証券から東証のシステムに対して大量の電文が送信されたことが理由で、東証のシステムが一部ダウンした。ただしこの時影響を受けたのは一部であり、全銘柄売買停止にはならなかった。

　これら3つのケースでも、全銘柄が終日売買停止とはなっていなかった。それだけに2020年10月1日の全銘柄終日売買停止がいかに異常な事態かがわかる。東証はすでに2日には売買を再開できると発表しているが、将来も含め同様のことがまた起こらないよう願いたい。