来年の税制改正で株式への税率が引き上げられる?!

毎年行われる税制改正だが、2019年度の税制改正では株式の売却益に対する税率が引き上げられるかもしれないという話が出ている。もちろんまだ具体的な話はないので確定にはほど遠いが、株式への税率が変わったら投資家への影響は非常に大きくなる。

一時は10％だったことも

現在株式などの売却益にかけられる所得税率は、住民税と合わせて20.315％と決められている。この税率はFX、先物、投資信託など他の多くの投資商品の売却益にも適用されているので、この税率が変わると影響は非常に大きい。

今回少し話に出ていた株式売却益への増税案は、消費税増税の軽減税率のための財源確保という名目らしい。安倍総理も自民党総裁として3選され、来年10月から消費税が10％に引き上げられるのはほぼ確実となってきた。しかし10％となると負担が大きくなるので、食料品など必需品に対しては軽減税率が適用される方向で議論が進んでいる。軽減税率の財源を確保するために、株式売却益への税率を引き上げる可能性があるということだ。

そもそも株式売却益にかかる所得税は、ここ10～20年ほどどのように変わってきたのだろうか？21世紀になった当時、つまり2001年頃は現在とほぼ同じ20％（所得税15％、住民税5％）だった。

しかし2002～03年頃は株式市場が低迷していたため、テコ入れのために税率を10％（所得税7％、住民税3％）に引き下げた。最初は数年だけの時限措置の予定だったが、元に戻すには証券業界や投資家からの反対が根強かったため、何度も延長され結局2013年末までこの税率が維持された。

また2006～07年頃は株式市場が好調だったが、2007年後半から2008年にかけてリーマンショックも含め株式市場の急落が続いたことも、この時期の税率引き上げを難しくしていた。

だがずっと10％にしておくことはできず、ついに2014年からは元の20％に戻る。その代償として、2014年1月から少額の投資益に対して非課税となるNISAの制度がスタートした。そして現在の0.315％という半端な数字は、2013年から東日本大震災への復興税として付与されたものだった（2013年の1年間は0.147％）。

このような変遷を辿ってきた日本の証券税制だが、来年の税制で変更されることはあるのだろうか？税率が20％から10％に引き下げられた時は、株式市場が低迷していた。株式市場が低迷していればテコ入れのために減税も考えられるが、現在では株式市場は好調なので減税は考えられない。となると、反対に増税されることは絶対ないとは言い切れないのかもしれない。