来年からアクティブETFが解禁へ

現在東証に上場されているETFは、パッシブETFという株価指数や他の原資産に価格を連動させることを目的としたETFのみ。それと反対に積極的に運用を行うアクティブETFはこれまで上場が認められていなかったのだが、来年から解禁になる模様だ。

パッシブよりコストが大きい

　資産の運用法には「アクティブ運用」と「パッシブ運用」がある。アクティブ運用とは、株式などのいろいろな銘柄に投資をして、株価指数といった市場の平均的な動きを示す指標よりも高い利益率を目指す運用法のこと。

　それに対してパッシブ運用とは、できる限り株価指数のような市場の平均的な上昇率に近い利益額を目指す運用法のこと。

　一見するとアクティブ運用の方が利益が出そうに見えるが、運用は一筋縄ではいかないので、実際には市場平均より悪い結果になってしまうことも多い。そのためにパッシブ運用をしていた方がいい結果だったと言われることも多い。

　そしてETFにもアクティブとパッシブの種類がある。現在日本の市場に上場されているETFは、基本的にパッシブETFばかり。パッシブETFは日経225平均などの株価指数や、金や原油など他の原資産に連動させることを目標としている。

　これまで日本の市場でアクティブETFは上場を許可されなかったのだが、東証は早ければ来年にもアクティブETFを解禁する見通しになった。

　解禁を決断したのは、海外ではアクティブETFが増えているためだ。そしてアクティブETFに流入する資金も多く、東証が禁止したままだと海外の市場に比べて魅力が下がる。アクティブETFを解禁して新たな投資家を呼び込む狙いがある。

　アクティブETFの運用はパッシブよりも手間がかかるため、信託報酬などコストはパッシブETFより高いのが一般的だ。そのためパッシブETFと同じ運用結果が出た場合、報酬で多く取られ投資家の手元に残る金額は減る。だからアクティブETFを運用するからには、パッシブよりいい結果を出さないと意味がない。

　しかし現在日本のETFにはある問題がある。というのは日銀が2013年以来10年近く異次元緩和を続けてきており、ETFのかなりの割合をすでに日銀、というより日銀に命じられて買っている信託銀行が保有している。

　長年の異次元緩和のため、日本のETF市場は本来の機能が損なわれつつあると言ってもいい。そこでアクティブETFを投入すれば、投資家に買ってもらうという本来のETFの役割が回復できるかもと期待される。

　アクティブETFが解禁されれば上場されるETFの幅が広がることになるので、投資家にとっては選択肢が広がるという意味で歓迎すべき動きだ。