暗号資産版SWIFTは仮想通貨を変えるか

暗号資産版SWIFTは仮想通貨を変えるか

著者 鳥羽賢
2019年07月22日

銀行間の海外送金をスムーズに行うネットワークとしてのSWIFTは以前から存在・稼働していたが、ここにきてSWIFTの仮想通貨版を日本主導で構築していくという計画の話が流れている。これが構築されたら、仮想通貨の世界は変わるのだろうか?

仮想通貨の海外送金を迅速に

SWIFT(スゥイフト)とは銀行で海外送金をする時にはよく聞く言葉だが、逆に海外送金をしない人にはあまりなじみのない言葉かもしれない。もともとSWIFTとはベルギーにある「国際銀行通信協会」を略した言葉だが、同時にこの協会が設立した銀行間の国際送金用ネットワークをも指す。


SWIFTネットワークは1970年代から稼働が始まり、1980年頃には日本も含め多くの国が参加。その後も参加国が増え、SWIFT自体も改良されつつ現在に至る。SWIFTの役割はいろいろあるが、ここで重要なのは海外送金とそれに伴う個人情報のやり取りをスムーズに行うところにある。


現在では世界の多くの銀行がSWIFTネットワークでつながっており、海外送金をする時は銀行の担当者に「送金先銀行のSWIFTコードはお分かりですか?」とよく聞かれる。


そしてここにきて、SWIFTネットワークの、暗号資産(仮想通貨)版を日本主導で構築しようという話が出ている。なぜこのような話になったのかと言えば、まずはFATF(金融活動作業部会)の活動のことから遡って話す必要がある。


FATFとはマネーロンダリングを防止するための国際的組織で、現在では日本を含めた37ヶ国とEU、湾岸協力会議(中東6ヶ国が参加する会議)が参加している。そしてFATFは今年6月に総会を開き、仮想通貨の海外送金を行うに際し、交換業者が送金元だけではなく送金先の住所や氏名(企業名)といった情報を確認し、保存しておくことを義務づけることで合意した。


しかしこの義務は現在の体制のままで履行することが難しいために、交換業者が送金元・送金先の情報をスムーズに確保・保存することができるよう、「暗号資産版SWIFT」の構築が提案された。この提案は日本主導で行うという内容だったが、この時の総会で承認されたと伝えられている。暗号資産版SWIFTは数年後の稼働を目指している。


暗号資産版SWIFTが稼働できたとしたら、仮想通貨業界はどう変わるのか?現在のところは仮想通貨の海外送金は仮想通貨取引所が行うという前提なので、稼働できるようになったら仮想通貨の海外送金がこれまでより速くスムーズに行われることが考えられる。


現時点では銀行の参加までは見通していないようだが、暗号資産版SWIFTに銀行が参加できるようなら、銀行を通した仮想通貨の海外送金も可能になる。全体的に見ると、暗号資産版SWIFTは仮想通貨の利便性を高めるものと思われる。


だがネックになってくるのはやはり、Facebookの「リブラ」になる。というのもリブラはアプリをダウンロードすれば、スマホからスマホへ直接海外送金できる仕組みを目指しているためだ。つまり取引所や銀行などを通さず、Facebook(またはリブラを運営する子会社)のネットワークのみで送金される。Facebookや子会社が暗号資産版SWIFTに参加するならいいが、そうでないとリブラが抜け道になる。


まだ構想が発表されたばかりなので、そのあたりはこれから計画が進んで初めてわかることになる。ともかく暗号資産版SWIFTが稼働できるようになったら、仮想通貨がさらに使いやすいものになることは確かそうだ。

 

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