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日本郵政が初の最終赤字見通しで追加売却にも暗雲

user 著者 鳥羽賢
calendar 2018年12月16日

2015年11月に上場した日本郵政は、オーストラリアの物流会社の買収に失敗し約4,000億円の減損損失が発生。その結果2017年3月期の決算で、初の最終赤字に転落する見通しとなった。この状態だと今後計画されている追加売却も厳しくなってくる。

今年7月以降に追加売却

日本郵政(銘柄コード:6178)は、グループ企業2社とともに2015年11月に上場。2015年としては最大のIPOとして話題になった。上場初値は1,631円でその後一時1,900円台まで上昇したものの、2016年初頭の世界同時株安もあり、最近では初値を上回ったことはほとんどない。

このようにあまり調子の良くない日本郵政の株だが、最近になって株価をさらに押し下げるような材料が出た。それは日本郵政が2015年に買収したオーストラリアの物流会社トール・ホールディングスで、約4,000億円もの巨額の減損損失が出ると発表されたからだ。

この件について日本郵政は25日に会見を開き、減損損失が4,003億円になること、そして2017年3月期の業績見通しを、これまでの3,200億円の黒字から400億円の赤字に下方修正したことなどを発表した。

日本郵政の業績下方修正は、今後の株追加売却計画にも影響が出てくるのは間違いない。2015年11月のIPO時に売却されたのは、大株主の財務省が保有する株の11%だった。そしてこの売却で1兆4000億円の売却益を得られた。

しかし今年1月になって、財務省は日本郵政株を追加で売却する計画があると発表。売却時期は今年7月以降、2022年にかけて複数回になるらしい。売却の方法は、証券会社を通して一般投資家に対して公募をかけるものと思われる。新規上場株の公募はIPOと呼ばれるが、すでに上場している株の公募はPOと呼ばれる。こちらはあまり話題にならないが、随時証券会社で行われている。

財務省は日本郵政株を何度かに分けて売り、4兆円ほどを調達して復興財源に充てるという計画があるとのことだった。郵政民営化法によると、財務省は全株の3分の1を残すところまで売却することができる。

とは言え今回の減損損失のような不祥事があると、今後の売却計画も難しくなる。まず株価が下がることになるので、これまでの計画と同じ数を売っても調達できる金額が少なくなる。

もともとこのような「大量バラまき」計画は株式にとってプラスにならず、売却計画が発表された今年の1月16日には、日本郵政の株価は4.9%も下落した。そして減損損失のニュースもあり、今後の見通しはあまり明るくない。ただ日本郵政は鳴り物入りで上場した超大型IPOなので、その株価が上がらないと今後同様の株を買いたいと思う個人投資家の数も減って行くだろう。

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