日本で宣言解除でも世界にはまだまだ火種

日本で宣言解除でも世界にはまだまだ火種

著者 鳥羽賢
2020年05月23日

日本では21日に大阪とその周辺で緊急事態宣言が解除され、25日には首都圏や北海道で解除されることが濃厚になってきた。これで日本のパンデミックは一旦収束したと言ってもいいが、世界にはまだまだ火種が残っている。

米中関係が急激に悪化

今年になってからCOVID-19(新型コロナウイルス)が世界的に大流行し、日本も4月7日から緊急事態宣言下に入った。当初は1ヶ月間だった宣言は5月7日以降にまで延長され一時はかなり懸念が高まったが、5月になって新規感染者が急減。


5月14日には39県で緊急事態宣言が解除され、21日には関西の3府県で解除。そして残り5都道県でも25日に解除されるという線が濃厚になっている。これで日本のCOVID-19は一旦収束したと言ってもいい。


しかし世界を見ると、まだ多くの火種が残っている。アメリカ、ロシア、ブラジル、インドなどでは、患者数は減っていない。それどころかブラジルやインドではまだ増え続けている。


そして問題はCOVID-19だけではない。今月になって米中対立が急激に激化の兆しが見えてきている。もともとアメリカがトランプ政権になって以降、2018年頃から米中は貿易問題で争ってきた。


それが2019年秋頃からようやく和解に向けた交渉を開始し、今年1月には第1段階の合意に達したばかりだった。そのような状況でCOVID-19のパンデミックが始まり、米中の対立は新たな局面を迎える。


米中関係を大きく悪化させたのが、COVID-19パンデミックの責任をお互いになすりつけ合ったことだった。そして今週になると米中対立が明確に表面化し、19日にはNASDAQが一部の外国企業(実際には中国企業が対象)の上場基準を厳格化するとの情報が流れた。


さらに20日には米上院がこれも中国企業を暗に対象として、米国の基準に従わない企業を上場廃止にする法案を可決。


そして22日から中国で全人代(日本の国会に相当)が開催されるが、そこで香港に対する締め付けを厳しくする法案が審議されるという。この件に対してもアメリカは強く反発しており、中国に対する新たな制裁も視野に入れている。米中関係はこれからますます悪化していくことになるだろう。


また欧州にも難しい問題がある。欧州は3月になって全域にCOVID-19が広がり、多くの国がロックダウン(封鎖)などの厳しい措置を取った。結果としてフランス、ドイツ、イタリアではかなり感染者が減り、その3ヶ国や他の感染が減っていない国も5月になって経済活動再開に動いている。


だがロックダウンを実行しその間企業への補償など国の歳出が激増したため、特にイタリアは財政が非常に厳しくなっている。欧州の国は独自通貨ではなくユーロなので、単純に新規に紙幣を発行して歳出を賄うことができない。


だからイタリアは「コロナ債」と銘打つユーロ圏の共同債の発行に賛成しているのだが、ドイツなどは反対している。イタリアの財政問題や、イタリアとドイツなどEU内部の対立が欧州にとっての火種として残る。


そして日本も、今後再流行しないという保証は全くない。緊急事態宣言が解除されても、世界はまだまだ安心できるような状態ではない。

 

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