市場にとって暴落材料となりかねないエルサレム問題

筆者 鳥羽賢 |

トランプ大統領がエルサレムの問題に火をつけようとしている。

 6日の国内株式市場では日経225平均が446円も暴落。ずっと堅調な相場が続いてきた2017年最大の下げ幅となった。年末のここにきて突然暴落した理由に、「トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認定する」と報道されたことにある。この問題は株式市場だけではなく今後の世界を大きく変えてしまいかねない、非常に危険な問題でもある。

 

中東の火薬庫とも言える都市

 

 今年は10月に日経225平均が新記録の16日連続上昇を見せるなど、日本だけではなく世界各国の株式市場が非常に堅調な1年間だった。ところが12月6日になって日経225平均が突然446円も暴落した。

 6日の暴落は、午前10時から11時頃にかけて「トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認定し、米大使館も現在のテルアビブからエルサレムに移転する」と報道されたためだ。では、エルサレム問題とは何なのか?

 エルサレムとは中東にあるイスラエルの首都だ。しかしイスラエルは首都と述べているものの、周辺のアラブ諸国はそれを長年認めていなかった。このような状態になったのは、遥か昔からの歴史的背景がある。

 エルサレムは昔からキリスト教、イスラム教、ユダヤ教など複数の宗教が「聖地」と定めているため、宗教的に極めて重要度が高い都市だった。そのためエルサレムを巡ってはたびたび戦争が起こっていたものだ。

 第2次大戦後、しばらくエルサレムは国連の管理下に置かれていた。それが第1次中東戦争を経て、1949年に西半分がイスラエルに、東半分がヨルダンに属することになった。さらに1967年には第3次中東戦争が起こり、イスラエルが東半分に攻め入って占領。以降は東半分を含めエルサレム全体を実効支配し、首都としている。

 しかしアラブ諸国はこれを認めておらず、エルサレムを巡って中東ではいつ戦争が再開されるかわからない状態が続いてきた。そしてアメリカを始め世界各国は、この難しい問題に関し両者を必要以上に刺激することを避けるために、エルサレムがどの国に属するかどうか明言は避けてきたのだ。

 ところがここに来て、トランプ大統領はこれまでの政策を転換し、エルサレムをイスラエルの首都として認定すると言いだしている。それはなぜか?1つには、トランプ大統領は選挙戦期間中からこれを公約としていたことがある。またトランプ大統領の娘婿であるクシュナー氏がユダヤ人だという点も、イスラエルに肩入れをする大きな理由と見られている。さらに最近になってロシアとの関連疑惑で非常に苦しい立場に追い込まれているので、その件から世間の目をそらすためではないかと見る者もいる。

 理由がどうあれ、トランプ大統領が正式にエルサレムをイスラエルの首都として認定したら、アラブ諸国は激怒しアメリカに対するテロが激化。さらに中東ではまた戦争になりかねない。

 そしてそのように世界の混迷が深まることは、株式市場にとって大きな売り材料になる。今年はずっと上昇が続いてきただけに、きっかけが1つあれば暴落相場になっても不思議ではない。



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筆者について
鳥羽賢

慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。ポータルサイト『オールアバウト』では、「世界のニュース・トレンド」テーマなどで、数年間政治・経済ニュース記事を執筆。FXの専門誌『月刊FX攻略.com』でも各通貨ペアの特徴解説など、FX攻略記事を執筆した経験がある。主な著書に、『とにかくわかる! FX超入門者』(すばる舎)などがある。翻訳活動も行い、FX投資教材の翻訳を中心に、金融分野の翻訳実績も多数。自身でも投資を行い、FXのトレードも2006年以来7年以上にわたって継続している。