少しずつリップル有利に動く裁判

米で仮想通貨・リップルの運営会社が訴えられた裁判は、すでに開始から2年が経った。来年前半には判決が出る可能性があると言われている中、最近では少しずつリップルに有利に動いている。

アミカス・キュリエが参加

　仮想通貨市場で2度目のバブルが始まりかけた2020年12月に、アメリカの証券業界の監督機関であるSEC（証券取引委員会）が、仮想通貨・XRP（リップル）の運営元であるリップル社を提訴した。なおここでは仮想通貨とその運営元を区別するために、仮想通貨はXRPと書き、運営元企業はリップル社と書く。

　提訴の理由は、「XRPは仮想通貨ではなく有価証券に該当する。それにも関わらずリップル社は有価証券として所定の手続きを踏まずに、XRPを不特定多数に販売してきたのは違法」というものだった。

　そしてこの裁判は長引いており、提訴から2年経った2022年12月になっても続いている。ただし来年前半には終わりそうな見通しもある。今年9月にはリップル社とSECの双方が、通常より早く終わらせるための略式判決を求める動議を提出。これが来年前半には裁判が終わるかもしれないとの見通しにつながった。

　また同じ9月には、SECの幹部であるウィリアム・ヒンマン氏が発言したメールなどを提出するよう命じられた。リップル社の主張では、ヒンマン氏は2018年に「XRPは有価証券には該当しない」と発言していたという。その発言の証拠になる可能性としてのメール提出を以前から求めていたが、それが認められた。

　その後もリップル社に有利に働く展開が続いている。アメリカの裁判には「アミカス・キュリエ（amicus curiae）」という、第三者の意見を聞く制度がある。これは当然ながら裁判官や原告・被告などが承認した場合にのみ実施となる。

　そして最近になってリップル社に有利になるようなアミカス・キュリエが次々出てきている。例えばアメリカで上場して話題になった大手仮想通貨取引所のコインベースが、アミカス・キュリエになりリップル社の主張を支持する意見を提出する。

　コインベース以外にも、アメリカの仮想通貨業界団体であるブロックチェーン協会、仮想通貨決済アプリを提供する「SpendTheBits」、さらに投資関連のNPOなどがアミカス・キュリエになることを提案。そして11月にはそれが認められた。

　さらに11月には仮想通貨特化の投資企業であるパラダイム・オペレーションズ（Paradium Operations）もアミカス・キュリエとして名乗り出た。

　最近になってアミカス・キュリエとして名乗り出た企業・団体は、全てリップル社を支持するために参加している。そしてヒンマン氏のメールなども提出を命じられた今、裁判はリップル社優勢でリップル社の勝訴で終わる可能性が高まってきた。