大型倒産は今後もまだまだ続く

今週になって国内外で大型の倒産が発表されている。株価はかなり落ち着きアメリカの失業率は回復傾向にあるとは言え、COVID-19の影響を強く受けている業界の大型倒産は今後もまだまだ続くことは避けられそうにない。

負債額1兆円の企業も

今週になって国内外でまた大型の倒産が出てきている。アメリカでは28日日曜に、シェールガスの開発などエネルギー事業の企業・チェサピーク・エナジー（銘柄コード：CHK）が、連邦破産法第11条の適用を裁判所に申請。連邦破産法第11条は日本で言う民事再生法に相当するため、事実上の倒産となった。

同社は1989年に創業され、1993年には早くも株式公開を達成。2006年にはS&P500指数の銘柄にも採用された。しかし近年は原油価格や他のエネルギー価格が低迷し経営が悪化していたところに、COVID-19（新型コロナウイルス）が広まりエネルギー需要が急低下。ついに経営を断念した。

なお同社は2019年度の売上が86億ドル（約9,200億円）もあり、倒産時の負債額も約95億ドル（約1兆100億円）もある超大型倒産となった。

そして29日月曜には、カナダの世界的なサーカス「シルク・ドゥ・ソレイユ」が、カナダとアメリカで同時に破産申請に入った。ここは必ずしも売上高が大きいという意味での大企業ではないが、知名度は世界的なレベルだ。

シルク・ドゥ・ソレイユはCOVID-19のために3月から公演が一切できなくなり、3月にはスタッフの95％を解雇したとして広く報道された。その後も公演再開のメドは立たず、ついに破産となった。

さらに日本でも、30日火曜に大阪の旅行会社・ホワイト・ベアーファミリー（WBF）と関連会社1社が、大坂地裁に民事再生法の適用を申請した。負債額は両社合わせて約351億円で、パンデミックが始まってからの国内倒産では最大となった。

このように今週になってから国内外で大型の倒産が相次いでいる。株価は2～3月の暴落後かなり落ち着き、日経225平均も22,000円台の高値に留まっている。またアメリカの失業率は4月には14.7％と戦後最悪となったが、5月には回復し6月の数字も回復が見込まれている。

株価や米失業率の回復など良い材料もあるにも関わらず、世界経済全体の大きな落ち込みはまだ続いている。特に旅行、ホテル、芸能、スポーツなどCOVID-19によって大打撃を受けた業界は、2019年の状態を回復できるのは早くても数年後、あるいはもっともっとかかるかもしれない。

秋頃から各国のワクチンが少しずつ市場に出回ると見られているが、もはやワクチンだけでどうにかなる問題ではなくなった。最近では世界の累計感染者数がついに1,000万人を超え、1日あたりの新規感染者も増え続けている。すでに自然終息はほぼ絶望的な状況であり、経済の落ち込みや倒産ラッシュも当分は続くことになる。