大きく変わった日銀のETF買い

日銀は3月にETF購入政策の大幅修正を発表し、4月1日から実施。そして今月は1日から23日金曜までにわずか700億円しかETFを購入していない。日銀のETF政策は今月になってから明確に変わった。

買いは21日の1度のみ

　前白川総裁の2010年からずっと続けられてきた日銀のETF買い政策は、今年3月19日にまた大きく変更された。

　2020年3月以来「原則は年間6兆円、上限は12兆円」と定められてきた一般ETFの購入額は、「年間6兆円」の表記がなくなり「上限12兆円」とだけ表記された。また買い入れるETFタイプはTOPIX連動型のみとされ、これまで買われてきた日経225平均連動型などは終了とされた。

同様にREIT（不動産投資信託）は「原則は年間900億円、上限は1,800億円」だったが、「年間900億円」の表記がなくなった。今年3月まで買い入れてきた「設備投資及び人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF」（以下、「支援ETF」）については3月19日時点では何も言わなかったものの、4月から買い入れが止まっており実質終了したと思われる。

　そして4月も25日を迎え、これまでの日銀の購入履歴を見ると確かに大きく変わった。支援ETFは実質終了しこれまで全く買い入れがなく、同時にREITも全く買われていない。そして一般ETFは21日のたった1回だけ、約700億円買われたのみだった。

　このまま4月が終われば今月の買い入れ額は1,000億円を下回ることもありえる。日銀の月間ETF購入額が1,000億円を下回るとすれば、2014年10月に年間購入額が1兆円から3兆円に増額されて以来で初となる。

　今月の日銀の買い入れの中で先月から変わったことを特に示したのは、20日と21日に2日連続で株式市場が大きく下がった時だ。先月までの日銀のETF買いは「前場に1％以上下がった場合に発動」と見られていた。

　現在はTOPIX連動型のみ買っているので20日のTOPIXの動きを見ると、前場に1％以上下がったのだが買いは発動されなかった。21日には前場にTOPIXが2％近く安と前日以上に大きく下落したので、この日は700億円ほど買われ今月初の購入となった。

　昨年以来株式市場は上昇し今年は日経225平均が30,000円を超えるほどにもなったので、日銀はETF買いをかなり縮小しようとしている。この状態が続けば明確にアナウンスしていないものの「出口戦略」の実施であり、メディアなどでよく言われてきた「出口なき緩和」の懸念は払拭できる。ただし今後市場が暴落するようなことがあれば、また買い入れが一気に増えることになるだろう。