大きく変わった仮想通貨業界、大手はやっていけるか

大きく変わった仮想通貨業界、大手はやっていけるか

著者 鳥羽賢
2018年06月5日

今年になって日本の仮想通貨業界が大きく変わった。仮想通貨があまり注目されていなかった去年以前は、仮想通貨取引所はベンチャーの中小企業による運営が多かった。しかし仮想通貨が世界的ブームになったことから、去年末から今年にかけて大手企業が多く参入してきている。

大手が次々と参入

去年前半まで仮想通貨の知名度はあまり高くなく、仮想通貨を買うのは投資家の中でもさらに一部の人々だった。そのため日本で業務を行なっていた仮想通貨取引所も、大手企業ではなくベンチャーの中小企業が多かった。

中小企業は資金面や安定性で大手に比べて弱いところがあり、トラブルが起こるとそれが致命傷になる。典型的な例は2014年に破綻したマウントゴックスだった。マウントゴックスはそれまで日本で最大規模の仮想通貨(当時はほぼビットコインのみ)の取引所だったが、2014年に突然ビットコインが当時のレートで約200億円分消失する事件が起きた。そしてこの事件を主な原因として、マウントゴックスは破綻した。

このように去年以前は仮想通貨取引所というと中小企業がほとんどだったのだが、去年末頃からそれが変わってきた。ネット証券最大手のSBI証券を傘下に持つSBIグループが、6月4日から仮想通貨取引所の「SBIバーチャル・カレンシーズ」の業務を開始。またネム流出事件があったCoincheckも、大手ネット証券のマネックスに買収された。

FX業界で参入は比較的遅いものの大手になったDMMも、最近になって仮想通貨業務を開始した。またヤフーは資本参加という形で、仮想通貨業界に参入している。

その一方で、中小資本の取引所にとって状況はかなり厳しくなってきた。Coincheckの事件以来、金融庁は仮想通貨取引所に対する規制を大幅強化。今では仮想通貨取引所としての登録にはセキュリティなどに多額の投資が必要で、中小企業ではそれができずに仮想通貨取引所を廃業する企業も出ている。

こういった状況から、今年以降の仮想通貨業界は去年までとは全く違う業界図になる。では新規参入してきた大手はどの程度までやっていけるのだろうか?

金融業界は大手資本だから絶対生き残れるというわけではない。この事実を示すいい例が、約10年前の株ブーム時にネット証券に参入してきた野村だ。野村グループの野村證券が日本最大規模の総合証券会社であることはご存知の通りだが、野村はネット証券会社を持っていなかった。そこで2005年後半には株ブームがきたために、野村はグループ企業のネット証券会社として「ジョインベスト証券」を2006年5月に営業開始した。

ところが2006年1月にはライブドアショックがあり、個人投資家の多くはこの時をピークにすでに株から離れていった。そして業務開始後の2007年にはサブプライム問題、2008年にはリーマンショックと株式市場の暴落相場が約1年続いた。結局大手野村のグループ企業として鳴り物入りでスタートしたジョインベスト証券は、利益が出ずにわずか3年後の2009年に野村證券に吸収合併され、消滅した。

これはブームが過ぎ去ってから業務を開始したために、大手資本といえど上手くいかなかった例だ。もちろん今年参入してきた大手資本の仮想通貨取引所がこうなると決め付けることはできないが、仮想通貨ブームが終わった以上、将来の見通しは甘くないだろう。

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