国内5つ目のIEOはゲーム関連

著者鳥羽賢

2023年7月23日

企業がトークンを発行して取引所を通して不特定多数の個人に販売するIEOは、これまで日本国内で4回実施された。そして国内5例目となるゲーム関連のIEOが、今週20日に発表された。

GameFiの実現を目指す

　仮想通貨の普及とともに、企業がトークン（仮想通貨）を発行し取引所を通して不特定多数の個人に販売するIEO（Initial Exchange Offering）は、これまで日本国内では4回実施された。

　数年前は取引所を通さず直接不特定多数に販売するICOが特に海外では行われていたのだが、販売した後発行者が雲隠れするような詐欺紛いのものも多く、すぐに廃れた。それに代わって台頭してきたのが、取引所を通すことで発行企業・投資家双方が安心して取引できるIEOだ。

　そして今週20日に、国内第5弾となるIEOが発表された。今回の発行者はBrilliantcryptoという企業で、仲介取引所となるのはこれまで2回のIEOを手掛けたコインチェック。コインチェックのIEO上場はこれで3例目となる。

　Brilliantcryptoは、ゲーム開発企業として上場もしているコロプラ（銘柄コード：3668）が2022年11月に設立した100％子会社。コロプラは2014年にスマホゲームの『白猫プロジェクト』の配信を開始し、2023年まで9年以上続く同社の看板商品となった。

　コロプラの子会社だけあり、Brilliantcryptoもゲーム事業を行う企業として設立された。今回のIEOで集められた資金は、今後GameFi（ゲームファイ）市場の創出のために使われるとのことだ。

　GameFiとは「Game」と「Finance（金融）」を合わせた造語。ゲームをプレイすることでゲーム内の通貨だけではなく現実で使える仮想通貨・トークンなどを稼げる仕組みを初め、ゲームと金融の融合を指すコンセプトになる。さしあたってGameFiを実現するための新しいゲームが7月25日に発表される予定になっている。

　またBrilliantcryptoは「PoG（プルーフ・オブ・ゲーミング）」という新しい概念も提唱している。PoGは仮想通貨でマイニングを使って取引を処理するPoW（プルーフ・オブ・ワーク）や、ステーキングで処理するPoS（プルーフ・オブ・ステーク）と同等の意味を持つ言葉になるらしいが、詳細はまだ発表されていない。

　IEOは第1弾のパレットトークン（PLT）が仮想通貨ブーム時の2021年7月に上場したため、販売価格は4.05円だったが上場後に一時20倍以上まで上昇する大盛況ぶりだった。その一方で仮想通貨ブームが終わった2022～23年に上場した第2～4弾は、それほど上がっていないどころかかなり下がったIEOもある。

　2023年7月現在になっても新たな仮想通貨ブームとは言えない状況にあり、今年後半あるいは来年前半頃に上場したIEOがどこまで上昇するのかはやってみないと分からないと言える。

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