原油価格は2018年の水準越えへ
著者 鳥羽賢
2021年7月1日1日開催の産油国の会合で協議される減産縮小幅が小幅なものになるとの観測から、1日に原油価格が大きく上昇。2018年以来の75ドルをつけ、さらに76ドルもつけた。2018年につけた77ドルの更新が間近に迫っている。
ガソリンも18年の高値に迫る
1日に産油国が会合を開き、現在実施されている減産を8月以降どこまで縮小されるかについて協議された。
1日の原油価格は朝方から73ドル台半ばであまり動きがなかったが、産油国の会合で減産縮小幅がそれほど大きくならないとの見通しから夕方以降かなりの勢いで上昇。2018年10月以来となる75ドルをつけ、さらにその2～3時間後には76ドルもつけた。
2018年10月につけた高値が77ドルなので、その更新が間近に迫っている。1日に76ドルをつけた以上は、むしろ近い将来に間違いなく更新するだろう。
原油価格が上がっているため、国内のガソリン価格も必然的に上昇している。6月30日に発表された日本国内のガソリン小売価格は、28日時点の全国平均でリッターあたり156.3円だった。ガソリン価格は2018年10月22日につけた高値がリッターあたり160.0円だったので、その更新も近いうちにあるだろう。
原油価格が2018年の高値を越えると、その後は2011～14年前半と同等の高値圏に突入する。この時期は原油価格が80～110ドルで高止まりしていた時代だった。それでも2011～12年は民主党政権で超円高だった時代なので、円高に助けられてガソリン価格はそれほど上がらず140円台を中心に推移していた。
だが安倍政権になってアベノミクスが始まると為替が円安に動き、国内のガソリン価格も上昇。2014年になると160円台の高値に留まり、7月14日には169.9円の高値をつけた。
しかし原油価格はこの年の7月から急落する。偶然にも為替レートは9月から急激な円安になり、10月31日には日銀が大規模追加緩和を発表して円安に拍車をかけた。そして2015年6月には1ドル＝125円まで円安が進行した。
原油の下落と円安の進行がほぼ同時に始まったのは偶然だが、もし原油安があと1年遅れて始まっていたらどうなっていただろうか？1ドル＝125円をつけた2015年6月に原油価格が100ドルに留まっていたとしたら、国内のガソリン価格は恐ろしい高値になっていたに違いない。
2021年現在の原油価格に話を戻すと、7月1日に76ドルをつけ2018年の77ドルの更新はほぼ確実となった。それどころか80ドルに乗せる日も遠くないだろう。どこまで上がるかわからないが、同時に円安も進行しているので国内のガソリン価格は今後ますます上がることが予想される。
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