先週終盤の市場を動揺させたイラン・イスラエル関係

今月1日にイスラエルがシリアのイラン大使館を攻撃。攻撃後イランがその報復を行うとの見通しが高まったことで先週終盤は金融市場が動揺した。そして13～14日には実際に大規模な攻撃が行われ、中東の緊張が高まっている。

週末の攻撃で仮想通貨暴落

　先週の12日金曜のNYダウは475ドルの大幅安で終了し、その時間からほぼ24時間後の14日日曜未明には仮想通貨市場が暴落した。そしてこれらの動きの背景には、中東におけるイランとイスラエル間の緊張の高まりがあった。

　順を追ってそうなった経緯を見ると、まず4月1日にシリアのイラン大使館に対してイスラエルが攻撃を仕掛け、約10名が犠牲になった。

　そもそもなぜイスラエルは突然攻撃を仕掛けたのか？イスラエルは周辺にあるイスラムの国の多くと対立関係にあり、イランもイスラム国家である以上何十年も前からイスラエルとの関係は良くなかった。

　しかしイランは地理的にイスラエルと多少離れていることもあり、これまで直接戦火を交えたことはないがイスラエルと交戦している国に対し支援は行ってきた。

　そして昨年10月から続いているガザにおけるイスラエルとハマスの紛争でも、イランはハマスを支持してきた。このような背景があったため、4月1日の直前にイランがイスラエルを挑発したような行動はなかったもののイスラエルはイラン大使館への攻撃を行ったと見られる。

　この攻撃に対してイランは非常に憤慨し、直後からイスラエルへの報復を示唆していた。イランによる報復の懸念は先週の12日金曜になって高まり、この日のNY株式市場ではダウ工業平均が475ドル安で終了した。

　そしてその約24時間後となる13日土曜深夜から14日日曜未明にかけて、イランが実際にイスラエルを攻撃した。この攻撃は無人機やミサイルなど合わせて300以上の兵器を投入した大規模なものだった。

　攻撃自体はほとんどがイスラエル軍によって迎撃され、大きな被害にはなっていない。だがこの攻撃によってイランとイスラエル間の緊張や、中東全体の緊張が大きく高まった。イランとイスラエルが直接的な交戦を行ったのは、今月のこれらの件が両国の建国以来で初となる。

　イランによる攻撃の報道を受け、週末でも開いている仮想通貨市場が暴落。多くの通貨が下落したが特に下落率の大きかった主要通貨は例えばリップル（XRP）で、13日夜の84円から14日未明には一時69円と最大18％も暴落した。ドージコイン（DOGE）も13日夜の26.5円から14日未明に21.5円をつけて約19％の下落率となった。

　その後仮想通貨市場は14日夜から15日月曜にかけて反発が見られ、15日月曜の東京株式市場でも日経225平均は前場に一時700円を超える下げ幅を見せたが、後場になって反発して290円安で終了した。

　15日の株式市場を見る限りまだそこまで大きな影響は出なかったが、イランとイスラエルの関係と中東の紛争激化懸念は今後も金融市場に影響する大きな要因として残る。