元アイドルが投資詐欺で逮捕

SKE48の元メンバーである山田樹奈容疑者と他3名が、「投資で儲かる方法を教える」との名目でこれまで100人以上から約5,800万円を詐取した疑いで逮捕された。投資詐欺は世の中にたくさんあるが、この事件では元アイドルが関わっていた。

バイナリーオプションとは？

　アイドルグループ「SKE48」の元メンバーである山田樹奈容疑者（22）と他3名が、16日に詐欺と特定商取引法違反の容疑で愛知県警に逮捕された。逮捕された他の3名は、全員山田容疑者と同じ20代前半の若者で大学生や自営業など。

　山田容疑者らは、デリバティブの一種であるバイナリーオプションで「儲かる方法を教える」との名目で教材を売りつけ、多数の被害者から金銭を詐取していた。

　バイナリーオプションとは、「将来のある時点において原資産が一定の価格より上か下か」を予想して買う投資商品。原資産には為替や株価指数などいろいろあるが、山田容疑者らが「儲かる」と謳っていたのは主に為替のバイナリーオプションだったと見られる。

　具体的には「米ドル/円：109円以上、満期は1時間後」などの商品があり、1時間後に米ドル/円が109円より上にあると予想できればこのバイナリーオプションを買う。そして1時間後に実際に109円より上なら、一定の利益が得られる。反対に109円より下だったら、リターンはないので投資した金額はそのまま損失になる。

　バイナリーオプションは原資産が同じ米ドル/円でも、取引条件は「109円50銭以上」「110円以上」など複数用意されている。また満期も1時間後以外にも、10分後、4時間後、24時間後などいろいろなものが提示されていることが多い。

　「バイナリー（binary）」という言葉は2進法という意味であり、バイナリーオプションは「上か下か」の2択に賭けて利益を狙う丁半バクチ的な要素が強い。なので運要素が強く必勝法というものはほぼ存在しないと言ってもいい。

　しかし山田容疑者らは、「バイナリーオプションで儲かる方法を教える」と述べて、儲かる方法を教えるための教材を、ある被害者に対して50万円で売り付けていた。そして同様の手口で2019年8月から20年3月にかけ、100人以上から約5,800万円を詐取していたとのことだ。だが教材と言っても、実際には何も必勝法らしいものは書かれていなかった。

　冷静に考えると、このような教材を買うことはありえない。バイナリーオプションは単に「上か下か」を予想するだけだ。そして予想が難しい為替レートにおいて、「上か下か」を正確に当てることはほぼ不可能。教材などというものは存在しえないことがわかるはずだ。

　もちろん詐欺を行った方が悪いのは言うまでもないが、詐欺に引っかからない金融知識は身につけておきたい。