低調な結果が続く日本のIEO

2024年に日本では4つのIEOが実施されたものの、4例とも上場後はさえない値動きが続いている。2024年は仮想通貨市場全体が非常に好調でビットコインが1,600万円を超えた年なのに、4つのIEOは全て低調だった。日本のIEOは今後もあまり期待できないのかもしれない。

エルフトークンは6分の1未満

　企業が独自トークンを発行して取引所を通して不特定多数に販売することで資金を調達するのがIEO（Initial Exchange Offering）で、世界では多数が実施されている。それに対して日本では規制が厳しいこともありあまり行われなかったものの、2024年の1年間では日本で数えて5～8例目となる4つのIEOが実施された。

　そして2025年が明けて2月に入ったが、現時点で2024年に上場された4つのIEOを見るとその価格は伸びずさえない結果ばかりとなっている。

　1つ目は3月29日上場のエルフトークン（ELF）。これはHashpallete（ハッシュパレット）が発行しており、同社が開発・運営しているゲーム「THE LAND エルフの森」で使用されるもの。

　エルフトークンはIEO時1枚あたり12.5円で販売されたが、その後価格が下がり続け今年が明けると2円を割り販売価格の6分の1以下まで暴落してしまった。

　2つ目は6月17日上場のブリリアントトークン（BRIL）。これは大手ゲーム会社・コロプラの子会社であるBrilliantcryptoが発行したトークンなので、エルフトークンと同じゲーム関連となる。

　ブリリアントトークンは21.6円で売り出された。上場直後には販売価格を超えていたが、その後は下げが継続。9月と11月に短期的に上昇したことがあったもののすぐに下げに転じ、今年2月19日時点では販売価格の3分の1である7円で推移している。

　3つ目は12月13日上場のNot a hotel coin（NAC）。「Not a hotel」という不動産のホテル兼別荘のような利用法を提案する企業が発行者になる。

　NACはIEOの購入枚数の90％がロックアップされる、つまり売却できなくなるという独自の手法で、1枚＝1,000円で売り出された。ロックアップの効果は大きく、上場直後には一瞬だが3,000円と3倍まで上昇し、その後もしばらくは2,000円付近での推移が続いた。

　だが最初のロックアップ解除日である2月1日に15％の解除が行われると、直前に1,600円だったレートは1,000円まで暴落してしまった。2月19日現在でも販売価格とほぼ同じ1,000円付近で推移しているが、75％ものロックアップ分が残ってこの水準はそれほど褒められる結果ではない。

　4つ目は12月23日上場のJOCトークン（JOC）。Japan Open Chainという日本独自のブロックチェーン構築を目指す企業が発行したトークンになる。

　JOCトークンはまず1口あたり約500万円分を購入する大口投資家に販売し、その後一般投資家に販売する2段階販売手法で1枚30円で販売された。また大口投資家には今後2月末から毎月少しずつ、合計で購入分の20％のトークンが無償付与される特典がある。

　JOCトークンは上場直後から販売価格の30円を超えることはほとんどなく、2月19日現在で14円と約半分の水準で推移している。今後は無償付与分が出てくるので、さらに売り圧力が高まることが予想される。

　こうして見ると、2024年上場の4つのIEOのうち3つは販売価格より大幅安となり、販売価格付近で推移しているNACはまだ75％のロックアップ分が残っている。2024年はビットコインが1,600万円を超えるなど仮想通貨市場が好調だったにも関わらず、4つとも好調とは言えない値動きとなっている。日本のIEOは今後もそれほど期待できないのかもしれない。