仮想通貨市場を暴落させたビットコインキャッシュの問題

15日になって仮想通貨市場が全体的に暴落し、ビットコインは今年の最安値となる60万円まで下げた。この裏には、16日未明にハードフォークを行う予定だったビットコインキャッシュの混乱があると言われる。

2つのチームが争い

昨年後半ほどの大ブームにはなっていないが、今年になってからもビットコインは春以降一定の価格を保っていた。昨年12月に230万円をつけた後今年2月には一度65万円まで下げたものの、その後は最近まで70～90万円で推移。70万円のサポートラインは鉄板かに思われた。

ところが15日になってビットコインだけではなく仮想通貨全般が暴落。14日までこれまで通り70万円で留まっていたビットコイン価格は、15日になって一気に70万円を割り、午前5時過ぎには一時60万円まで10％以上下落した。

仮想通貨全般がここまで下げたのには、当然何らかの理由があると考えられる。そして15日の下げは、ビットコインキャッシュ（BCH）のハードフォークを巡る混乱があると見られている。

もともとビットコインキャッシュも、昨年8月にビットコインからハードフォーク分裂をして生まれた仮想通貨だった。それが11月16日未明に再びハードフォークを行う予定だったのだが、ここで2つの開発チームが今後の後継システムを巡って争っている。

その2チームとは、「Bitcoin ABC」と「Bitcoin SV」の2つと言われる。この争いは16日の直前になっても決着がついていないため、16日以降ビットコインキャッシュがどうなるのか不透明になっているのが、仮想通貨の投資家やホルダーを不安にさせた理由の1つ。

さらに今回の件でホルダーの不安を高めている要因に、リプレイ・プロテクションの実行が発表されていない点がある。ここでは話をやや簡素化してみるが、「リプレイ・プロテクション」とは、仮想通貨が分裂した後に、分裂を完全にするための措置になる。

リプレイ・プロテクションが実行されないまま分裂した仮想通貨はどうなるのか？例えば仮想通貨Aが分裂して、仮想通貨Bと仮想通貨Cが誕生した。そしてBとCを両方持っているホルダーが、仮想通貨Bを他者に送金すると、仮想通貨Cも同時に送金されてしまうという事態が起こりうる。

これはもちろんホルダーにとって仮想通貨Cがなくなる損失が発生するので、あってはならない。しかしリプレイ・プロテクションが実行されていないとこのようなことが起こりうる。そして今回の件では、Bitcoin ABCもBitcoin SVも、リプレイ・プロテクションを実行すると述べていない。

これがビットコインキャッシュや他の仮想通貨ホルダーの不安を高めることとなり、15日の仮想通貨暴落につながったのではないかと見られている。仮想通貨は大元の管理者がいないものが多いが、管理者がいないだけにこのような開発チーム同士の争いや、それに伴う混乱は避けられないこともある。