仮想通貨利用の闇サイトの経営者が恩赦

米で仮想通貨を利用した違法売買サイト「シルクロード」を構築・運営し逮捕されていたロス・ウルブリヒトという人物が、トランプ大統領によって恩赦された。仮想通貨に好意的な姿勢を掲げて仮想通貨業界から歓迎されたトランプ大統領だが、この恩赦は論争を呼びそうだ。

量刑は終身刑2回と禁固40年

　アメリカで20日に就任したばかりのトランプ大統領が、21日に仮想通貨を利用した違法売買サイト「シルクロード」を構築・運営していたロス・ウルブリヒトという人物に恩赦を与えることを発表した。

　トランプ大統領は仮想通貨に好意的な姿勢で、昨年7月に開催されたイベントでは「アメリカを仮想通貨の超大国にする」と発言したことで11月の大統領選勝利後の仮想通貨市場上昇の原動力となった。しかし犯罪者として逮捕されたウルブリヒトの恩赦は、今後論争を呼びそうだ。

　ではこのシルクロードとはどういったサイトなのか？シルクロードとは仮想通貨を含めたいろいろな商品を売買するためのサイトで、売買の通貨としてビットコインが使われていた。しかし全ての取引が匿名でできる点が問題だった。

　シルクロードは2011年にウルブリヒトによって立ち上げられたが、犯罪に使われているとしてFBIに目をつけられて2013年にはウルブリヒトが逮捕されサイトは強制閉鎖された。

　逮捕と閉鎖があった直後にブレーク・ベンサルという人物がシルクロード2.0と銘打って同様のサイトを立ち上げたものの、翌14年にはその人物も逮捕されシルクロード2.0は同様に閉鎖を命じられた。

　ウルブリヒトの逮捕後に、彼が持っていたビットコイン約7万枚が米政府によって押収された。7万枚の価値を現在の1枚≒1,650万円のレートで計算すると約1兆1500億円にもなる。米政府が押収したこれらのビットコインを市場で売りに出すとの観測が高まり、ビットコイン市場で警戒が高まったこともあった。

　ウルブリヒトは逮捕後に裁判が行われてハッキングやマネーロンダリングなどの罪状で有罪が確定。量刑は終身刑2回分と禁固40年という厳しいものだった。

　しかしそのウルブリヒトに対し、トランプ大統領は恩赦を与えた。仮想通貨に好意的な姿勢で仮想通貨業界に歓迎されて就任したトランプ大統領だが、この恩赦を仮想通貨業界が歓迎するとは限らずむしろ批判の声の方が多くなる可能性がある。トランプ大統領がこの恩赦を行った意図は不明瞭なままだ。