今週のFOMCは三度金利据え置きへ

本日から米ではFOMCが開催され、日本時間の8日未明に政策金利が発表される。米ではトランプ関税の影響に対する不透明さが高まっており、今回は1月、3月に続いて3回連続で金利据え置きを発表する可能性が高いと見られている。

今年のFOMCは残り5回

　日本では連休最終日となる6日だが、本日からアメリカではFOMCが開催され日本時間の8日木曜午前3時に政策金利が発表される。

　FRBは昨年後半に3回連続、合計で1％の利下げを発表してきた。しかし今年1月にトランプ政権が発足しすぐに多くの関税政策を発表したことで、アメリカ国内のインフレ再燃懸念が高まった。

　またトランプ大統領は関税以外にもインフレ再燃懸念を高める政策を多く掲げており、政権発足後のインフレや経済の様子を見るために今年に入ってからFRBは1月、3月と2回連続して金利据え置きを発表した。

　そして今週になって今年3回目のFOMCが開催され日本時間の8日午前3時に政策金利が発表されるが、今回も金利据え置きの発表が濃厚と見られている。パウエル議長は景気やインフレの動向を見極めようと慎重な姿勢を貫いており、追加利下げを発表する意図はないようだ。

　とはいえ年8回開催されるFOMCもすでに今年3回目となり、今週の会合が終われば残り5回となる。この5回で多くの追加利下げを行うことはかなり難しくなってきた。

　昨年後半に3回連続で利下げを発表した当時は、2025年になっても順調に利下げを続けると思われていた。だがトランプ政権が発足してインフレ再燃懸念が高まったことで、今年1～3月頃は2025年の利下げ回数は「2回」と見る予想が最も多かった。

　4月初頭に相互関税が発表されて株式市場が大暴落すると景気後退懸念が高まり、その時は今年の利下げは「4回」との予想が増えた。しかし市場の懸念とは裏腹に、株安は長続きせずその後はリバウンドしている。

　今週を除けば今年残り5回のFOMCで4回の利下げが発表される可能性は低く、現在の見通しだとやはり多くて2回程度で今年を終える可能性が高い。

　今後利下げを増やす要因としてはアメリカの景気後退がある。景気が落ち込めば利下げをして景気下支えをする必要が出てくる。またトランプ大統領はパウエル議長に対して利下げをするよう圧力をかけており、今後圧力が高まれば利下げの可能性も高まる。ただし先月半ば頃に出ていたトランプ大統領による解任の動きは、トランプ大統領自身が否定したことでなくなった。

　また逆に今後も据え置きを続ける要因として、インフレの再燃がある。アメリカのインフレ率は3月までのところ大きく上がっていないものの、4月以降はトランプ関税の影響で徐々に上がっていくことが予想されている。

　インフレが再燃すればFRBとしてもこれ以上利下げをすることはできない。また場合によっては再度の利上げも必要になることもありえる。また景気拡大を伴うインフレではなく、今後はトランプ関税の影響で景気後退とインフレが同時に起こるスタグフレーションに突入するのではないかとの懸念もある。

　トランプ大統領は次々と新しい政策を出しては撤回しているため、今後の予想が難しい。FRBとしても難しいかじ取りを迫られるため、FOMCごとに利下げをするか否か厳しい選択をしないといけないことになる。