今週の日米金融政策発表の展望

今週は日銀の金融政策決定会合と、アメリカのFOMCが開催される。そして21日木曜の午前3時にはFOMCが、正午頃には日銀が金融政策を発表する。今回の展望についてまとめてみた。

FRBはBSの縮小へ

今週は日米の金融政策会合が行なわれる。今年になってからこのように日米が同じ週に金融政策を発表するケースが何度かあり、3月、6月はそのような感じだった。したがって9月で3回目になる。

それでは今週の日米政策金利発表について、その展望を確認してみよう。まずは先に発表される米FOMCの方から。

政策金利については、FOMCは今年になって3月と6月の2回の利上げを行ない、現在では1～1.25％になっている。そしてこれまでの声明や幹部の発言などから、「2017年の利上げは3回」というのが既定路線と見られている。

ということは今年の利上げはあと1回。しかしこの1回は12月に行なわれる可能性が最も高く、早期の利上げは予想されていない。そのため今回・9月の利上げは極めて可能性が低いというのが市場の見方だ。

今回の本当の争点は、政策金利ではなくバランスシートの縮小にある。FRBは2008年以来3回に分けて大規模金融緩和を行なってきたために、そのバランスシート、つまり保有する資産の規模が4兆5000億ドル（約500兆円）にも拡大してきた。

これは異例のことなので、FRBはいつかは保有する資産を売ったり、あるいは償還された国債の再投資を止めることで、バランスシートを縮小しなくてはならない。そしてこれまでの発言から、縮小は今年の秋に開始すると述べてきた。

そのために今回はFOMC後の声明や、その後のイエレン議長の講演でバランスシート縮小に関し何らかの詳細なプランが発表されることになると見られている。その内容次第で、米ドルがかなり大きく動いても不思議ではない。

そして21日の正午頃には、日銀が金融政策決定会合を終えて金融政策を発表する。しかし今回は政策金利・量的緩和ともに据え置きが予想されている。

昨年の前半には中国発の世界同時株安があり、その後しばらく日本の株価が低迷していた。そのために日銀はマイナス金利政策を初め、追加緩和を次々と打ち出していたものだ。だが11月にあった米大統領選後の「トランプ相場」で円安・株高になって以来、新しい追加緩和政策は発表していない。

最近は円高がやや進行していとは言え、株価の方は堅調で日経225平均が19,000円を割る兆しすら見せない。これらの状況から考えて、今回も追加緩和はないだろう。

ただし今回は物価動向の点検を行なうと予想されている。日本の景気は多少回復してきており、特に失業率などの雇用関連指標にいい数字が出ている。だがそれでも日銀が目標としている物価上昇率2％は達成できる見通しがないために、この点を点検する必要がある。

どちらにしても、日銀の方は黒田総裁の会見も含めそれほど大きな材料になることは考えにくい。どちらかというと、FOMCの方が金融市場が大きく反応する可能性が高いだろう。