今年のジャクソンホール会議は三大中銀総裁の発言に注目

各国の中銀総裁やエコノミストが集まるジャクソンホール会議が、今年は8月24～26日に開催される。今年は日本、アメリカ、ユーロ圏の三大中銀総裁の発言が注目材料となると思われる。

日米の中銀総裁は来年退任

ジャクソンホール会議とは、アメリカのワイオミング州ジャクソンホールという町で毎年夏に行なわれる経済会議のことだ。そしてこれはFRBの地区銀行の1つ・カンザスシティー連銀が主催しており、1982年から行なわれている。今年は今週の8月24～26日（現地時間）に行なわれることが決まっている。

ジャクソンホール会議は世界各国から中銀総裁やエコノミストといった特に経済・金融政策に関連する要人が多く集まるため、この会議は特に金融の世界で大きく注目されている。

会議中には各国の中銀総裁が講演などを行なうために、その発言内容はかなり重要視される。例えば2014年の会議ではECBのドラギ総裁が「ユーロ圏のインフレ率はかなり低下している」と発言。インフレ率の低下は金融緩和政策を示唆するものであり、実際に会議の約半年後・2015年3月にECBは現行の大規模量的緩和政策を開始した。

そして今年の会議だが、やはり日米欧の三大中銀総裁による発言に注目が集まる。まずFRBのイエレン議長だが、イエレン議長は来年2月で任期が切れる。そしてトランプ大統領は選挙期間中からイエレン議長の金融政策を批判しているため、再任の可能性は極めて低いと見られている。

退任まであと半年と迫ったイエレン議長に残された仕事は、今年中にあと1回行なうと言っている利上げと、FRBのバランスシートの縮小開始となる。最近はトランプ政権の混乱からリスク回避の動きが高まっているが、その辺りを考慮して今後の金融政策に関しどのような発言があるかが問題となる。

ECBのドラギ総裁は今後の緩和縮小・引き締めに向けたスケジュールについて何らかの発言があるかどうかが注目材料となる。最近ではユーロ圏のインフレ率も1.5％前後とまずまずの水準で推移しており、ユーロ圏の金融政策関係者からも緩和縮小・テーパリングを示唆する発言が相次いでいる。2014年に低インフレについて言及したように、今年もドラギ総裁から将来の金融政策変更を示唆する発言があるかもしれない。

そして日本からは日銀の黒田総裁が出席する。黒田総裁も来年3月で任期切れとなるが、再任されるかどうかを含め次期総裁の話が全く聞こえてこない。だが残された時間はあと半年だ。昨年11月以降「トランプ相場」で円安・株高が進行して以来、日銀は目立った追加緩和政策を出していない。このまま株安などにならなければあと半年も現状維持で行く可能性が高いと思われるので、黒田総裁から政策の変更について何らかの言葉が出てくることは考えにくい。

ともかくジャクソンホール会議は金融市場にとってはかなり重要な意味を持つ会議で、それが今週に行なわれる。週後半はこの会議が最も大きい材料になるかもしれない。