上げか下げかの分岐点にきた株式市場

4月以降最近まで非常に好調だった株式市場だが、9月になってこれまでの勢いがなくなり下げに転じている。ここで踏ん張ってまた上昇できるか、あるいは今後下落が続くのか、株式市場は重要な分岐点に差し掛かっている。

8月までは好調な相場だった

　2020年はCOVID-19（新型コロナウイルス）のために世界中にとって激動の年となったが、株式市場にとっても同じだった。パンデミックによる経済への悪影響を懸念し、2～3月にはNYダウが1ヶ月で10,000ドルも下落する歴史的大暴落となった。

　しかし3月から4月にかけて各国中銀が空前の規模で金融緩和を行い、各国政府は同時に空前の財政出動を行った。その結果4月以降は歴史的リバウンド相場となり、多くの株式指数が大暴落前の水準を回復。特にNASDAQ総合指数は暴落前を20％も上回る水準まで暴騰し、「コロナバブル」という言葉も生まれた。

　ところが9月3日にはNYダウが808ドル下落。これは下落率で言えば2.8％安だが、同時にNASDAQ総合指数は5％も下落した。そしてこの日を境に株式市場は調整の動きに入る。

　その後は9月18日まで1日で1,000ドルを超えるような暴落は見られず、調整相場ではあるが比較的緩やかな下げに留まっている。しかし力強いリバウンドもなく、日本が祝日の9月21日の時間外ではダウ先物がまた大きく下落し一時27,000ドルを割った。

　現在の株式市場は今後の方向性を決める分岐点に差し掛かっていると言える。考えられるシナリオはいくつかあるが、1つはある程度調整が終わってまた上昇するシナリオ。ここでまた上昇を目指すことができれば、ダウは2月につけた史上最高値の29,500ドルを越え30,000ドルを目指せるだろう。

　一方現在のような暴落ではないがズルズルとした下げが今後も続くシナリオもある。その場合各国中銀は追加緩和を思い切って出す決断をするとは限らず、下げが中長期的に続くこともありえる。

　あるいは今後何らかのマイナス材料が出れば、また暴落相場になることもある。その場合は各国中銀が暴落を止めるために追加緩和を出せるかどうかがポイントだ。すでに3～4月に多くの緩和を打ち出しており、これ以上の緩和は難しい国が多い。しかしそれでも追加緩和を発表してそれが株式市場にとって効果があれば、株式市場はまたリバウンドしていく。

　最悪のシナリオは、今後暴落が起こっても各国中銀は追加緩和をそれほど出せない、あるいは出してももはや効果がないケースだ。そうなると万策尽きて、株安を止める手段はもうなくなる。

　最近の株式市場は、各国中銀の空前の緩和に支えられた人為的な高値であることは間違いない。このような高値を維持できる保証はなく、何らかのきっかけがあれば暴落に転じるリスクを常にはらんでいる。そうなるとこれまで無節操とも言えるほど行ってきた緩和の、ツケを払う日がやってくることになる。