先月23日に英政府が発表した大規模減税によって、ポンドが下落し国債利回りが上昇するなど金融市場に多大な影響が出た。そして政策の一部は与党議員からも反対が出ているため、3日になって撤回を発表した。先月発足したばかりのトラス政権にとっては厳しいスタートとなった。
9月上旬に発足したイギリスのトラス政権は、前政権とは違いインフレに苦しむ国民を救済する姿勢をアピールするため、最初から思い切った措置に出た。
9月23日にトラス政権は歴史的とも言える大規模減税策を発表。その内容は所得税の基礎税率をこれまでの20%から19%に引き下げ。これまで年収15万ポンド(約2,400万円)以上に適用されてきた所得税の最高税率45%を撤廃し、一段下の40%に合わせる。そして法人税を現在の19%から25%に引き上げる案を棚上げするなど、多岐にわたった。
しかし極端な減税によって減った税収を確保するために、今後英国債を大量に発行しなくてはいけなくなるとの懸念が浮上。金融市場は財政悪化懸念を警戒し、発表直後からポンドと英国債に膨大な売りが出た。
国債市場では価格と利回りは反対に動くため、英国債が売られて価格が下がると利回りは上昇する。10年物国債の利回りは長期金利とも言われ、「英の長期金利が上昇」というニュースは英10年物国債が売られて価格が下落(利回りは上昇)したことを意味する。
今回の発表の前日・22日には日本政府と日銀が為替介入を行ったことで大きく円高・ポンド安に動いた。さらに23日に減税が発表されてポンドが暴落。このように円高・ポンド安材料が相次いで出たことで、22~26日の3日間でポンド/円は162円から149円まで13円も暴落した。またポンド/米ドルは26日に1ポンド=1.03ドル台の史上最安値をつけた。
自国政府の発表した政策で通貨ポンドと国債が暴落したため、英中銀は黙って見ておらずにすぐに動いた。先週28日には国債価格の下落を抑える目的で、英国債の緊急購入策を発表した。
さらに今週3日になり、英政府は減税案のうち最高税率を40%に引き下げる部分を撤回した。これは金融市場が混乱したためでもあるが、同時に与党議員に反対者が多く、議会を通過する可能性が低いためでもあった。
先週の緊急国債購入策発表後ポンドと英国債はかなり買い戻されたが、3日の一部撤回によって両者はさらに上昇。ポンド/円は3日になって162円台と減税発表前の水準にまで戻り、ポンド/米ドルや英国債も減税発表前に近い水準まで戻ってきた。ポンド/円のチャートを見ると「V」に近い形を描いており、まさにV字回復と言えるチャートになった。
これで英政府による減税発表後の金融市場の混乱はひとまず落ち着いたことになる。しかし目玉政策だったはずの減税で金融市場が混乱し一部撤回にまで追い込まれたことで、トラス政権にとっては厳しい船出となった。
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