ライブドアの堀江元社長などに新たな賠償命令

2006年のライブドアショックによってライブドア株の株価が暴落したため、保有していた株が下がり損害を受けたとして個人投資家が損害賠償を求めていた。その裁判の判決が今日東京地裁で言い渡され、堀江元社長らに約9200万円の支払いが命じられた。

強制捜査後に株価暴落

ライブドアショックもすでに9年前の話になるので、すでに忘れてしまった人も多いだろう。また最近株を始めた投資家などは知らない人も多いと思われる。

ライブドアショックとは、ライブドア（当時の社名）の株価が、2006年1月16日に突如行われた東京地検の強制捜査によって暴落した事件だった。ショック前の2005年後半は、日本の株式市場では堅調相場が続き、特にライブドアを初め新興株が大きく上昇していた。

しかし2006年の1月16日になって、当時の堀江社長らが株価を吊り上げるために不正な行為を行っていた疑いで、東京地検特捜部が強制捜査。翌17日にはライブドア株には売りが殺到し、また株式市場全体も一時的とは言えショック的な暴落に見舞われた。

この時個人投資家などから注文が殺到し、当時の東証のシステムの処理能力を上回ってしまった。そのために1月18日になって引けの午後3時を前にして「全銘柄取引停止」という異例の措置が発動。翌営業日以降システムが増強されるまで、本来午後0時半開始の後場が1時開始に変更される事態になった。その後4月にはまた0時半開始に戻された。

結局ライブドア株は4月に上場廃止。またライブドアの粉飾決算も認められ、堀江元社長は実刑判決を受けた。

ショック後にライブドア株の下落によって損失を被った個人や機関投資家が、次々にライブドアを対し提訴。個人投資家約3000人が参加した集団訴訟では、2009年5月に1株あたり200円の損害を認め、76億円の支払いを命じる判決を東京地裁が出した。

原告のうち約1750人は控訴したものの、その内約1530人はライブドアと和解した。2011年11月の控訴審判決では、控訴を続けていた残りの原告約220人に対し、1株あたり550円に損害額を増額、11億円の支払いを命じた。さらに49人は上告し、賠償額を1株あたり585円まで増やすことに成功した。

機関投資家からの訴訟もあり、日本生命と信託銀行5行が起こした訴訟では、2012年3月に上告審判決で確定。ライブドアに98億8400万円の支払いを命じた。

一方今日判決が出た裁判は、1人の個人投資家が起こしたものだ。原告は堀江元社長ら8人に対し、1億7000万円の損害賠償を求めていた。8人のうち4人は判決を待たずして原告と和解。今日の判決では残り4人に、約9200万円の支払いを命じた。しかし堀江元社長は判決後ツイートで「控訴します」と述べている。

会社としてのライブドアは、ショック後の2007年にライブドアホールディングス（LDH）に社名を変更。しかしその後、ポータルサイト事業はLINEなど他社に譲渡。プロバイダー事業は現在「テコラス」という社名になり、こちらも韓国のNHN関連企業の傘下に入っている。

残された持株会社としてのLDHは2011年8月の取締役会で解散を決議。あとは清算を待つのみだが、今日判決が出たような訴訟が残されており、完全清算までまだ時間がかかりそうな状態にある。