ブラジル干ばつにも関わらず下がるコーヒー豆価格

去年から今年にかけて、ブラジルで干ばつが続いている。水不足は全国各地におよび、少雨のためにコーヒー豆価格が高騰し続けるかに思われた。しかし2014年中は高騰していたものの、15年になってコーヒー豆価格はかなり反落している。

去年から干ばつのブラジル

ブラジルは世界最大のコーヒー豆の生産国だが、去年からかなり深刻な干ばつに襲われていた。この干ばつを「過去100年で最悪レベル」と報じる記事もあったほどだ。世界最大の生産国で干ばつによって生産量が落ちる見通しになったため、国際的なコーヒー豆の価格は高騰した。

先物市場で取引されているコーヒー豆には、主にアラビカとロブスタの2種類がある。今はなくなったがかつては東京の先物市場でもコーヒー豆が取引されていて、アラビカとロブスタという2銘柄があった。

一般的にコーヒー豆価格の指標としてよく使われるのは、レギュラーコーヒーに使われるアラビカの方だ。そして国際的な（アラビカ）コーヒー豆価格は、2013年秋時点で1ポンド＝120セント付近だったが、ブラジルの干ばつによる生産減見通しのために、14年春には220セントと2倍近くになった。

その後14年暮れまでは200～220セント付近で推移していたが、今年になって急落しすでに150セント未満になっている。

ではなぜ今年になって価格が下がったのか？1つには、去年は深刻だった干ばつが多少とはいえ緩和されたことがある。ブラジルでは今年の2～3月になってややまとまった雨が降り、特にコーヒー豆の産地でそれなりの量の降雨があった。それがコーヒー豆の生産見通しを改善しているのだ。

またブラジルの通貨・レアルが安くなっている点もある。ブラジルはここ1～2年景気が減速しており、通貨・レアルもかなり安くなっている。また逆に米ドルの方は、米利上げ観測の高まりから去年後半から急騰している。

レアルが安くなっているため、ブラジル産のコーヒー豆を安く輸出することができ、それが世界的なコーヒー豆の供給見通しを高める結果になっている。需給状況が供給過多の方向に動いているため、価格が下がりやすい環境ができつつある。

ただ日本国内の価格について言えば、それほど下がる見通しはない。というのも去年10月末の日銀追加緩和以来、円安が進行して1ドル＝120円付近に留まっているためだ。円安が進行すれば、日本が輸入する時のコストはどうしても高くなる。ただ国際的なコーヒー豆の価格は下がっているので、他の食料品のような値上げが来る可能性は低いと言えよう。