トルコの将来を決める国民投票が4月に行われる

昨年7月のクーデター未遂事件以来エルドアン大統領による反対派への弾圧が進むトルコだが、大統領権限を強化するための憲法改正を問う国民投票が、4月16日に行われる。この投票日前後には、トルコリラのレートは大きく変動することが考えられる。

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憲法改正を問う国民投票

最近トルコの状況が大きく変わっているが、それは昨年7月のクーデター未遂事件から始まった。このクーデター未遂では軍部の一部がエルドアン政権に対して叛旗を翻し、トルコの実権掌握を目指した。ところがトルコ国民の抵抗にも遭って挫折し、この事件以降にエルドアン政権の反対派への弾圧が厳しくなった。

クーデター未遂後、トルコでは政権に反対すると見られるメディアや知識人が次々に解散、あるいは逮捕され。独裁政権の恐怖政治のようになった。この措置に対してEU各国はトルコを猛烈に批判しているのだが、エルドアン大統領は意に介さず弾圧を続けた。

そして2017年になって、4月16日に国民投票が行われることになった。この国民投票では、大統領権限を拡大するための憲法改正の是非が問われる。国民投票が賛成多数になり憲法改正が行われると、大統領の権限が大幅に拡大し独裁状態に近くなる。そしてエルドアン大統領は2029年まで大統領でいることもできるようになる。

この国民投票に対する現在のトルコ世論は、賛成と反対が半々と言われる。つまり昨年行われたイギリスのEU離脱を問う国民投票のように、終わってみるまでどちらが勝つかわからない。

とは言え、この国民投票がトルコリラのレートに大きく影響してくるのは間違いない。トルコリラは2015年頃から米ドルに対して下げ続けており、米大統領選のあった昨年11月から特に下げ足を速めた。昨年11月初頭には1米ドル＝3.1リラだったレートが、今年1月には3.9リラと2ヶ月で20％以上も暴落。しかしその後はやや反転し、現在では3.6リラ付近にある。

特に賛成派が勝利した場合に可能性が高いが、国民投票の結果次第でトルコリラが大きく下落することも考えられる。憲法改正が行われるとトルコは独裁政権に近付き、それが欧米諸国との関係を悪化させることになりかねない。トルコはEU加盟を希望しているのだが、欧州各国との関係が悪化するとそれも難しくなる。

ただトルコはシリアや他の中東諸国からの難民の欧州への流れを食い止める国という意味で、重要な存在だ。トルコの政治が不安定になると、難民がトルコで止められずに次々に欧州を目指すことになるかもしれない。そうなると、EUの不安定化は避けられなくなるだろう。