トルコの利上げ可能性が高まる

3日にトルコの8月インフレ率が発表され、予想を上回る前年同月比19.25％だった。今年になってインフレが進行しているトルコでまた高まったことで、次回の政策金利で利上げが発表される可能性が高まってきた。

次回発表は9月23日

　3日の午後4時にトルコの8月消費者物価指数が発表。予想の前年同月比18.7％に対し、発表は19.25％だった。前月の数字が18.95％だったので、トルコのインフレ率はまた高まったことになる。

　トルコでは9月23日に次回の政策金利発表が予定されている。インフレ率がまた高まったことで、現在19％の政策金利が次回引き上げられる可能性が高まった。トルコ中銀のカブジュオール総裁は以前から「政策金利はインフレ率より高い水準を維持する」と述べてきた。

　これまではインフレ率が政策金利の19％以下だったのだが、8月の数字はついに政策金利を上回った。カブジュオール総裁の方針通りなら、次回は利上げをしなくてはならない。

　しかし問題はエルドアン大統領は利上げに反対していることだ。エルドアン大統領は今年3月にカブジュオール現総裁が任命される以前から、景気対策のために中銀には利下げ圧力をかけ続けていた。

　そして9月の政策金利発表で中銀が利上げを考えているとしても、そうしないようエルドアン大統領は圧力をかけると思われる。あるいは今回利上げをしたとしても、その後更迭されるリスクがある。トルコは過去2年ほどの間に、中銀総裁が3回も交代させられてきた。

　エルドアン大統領が期待しているとはいえ、インフレ率が高まっているので23日の発表で利下げはないだろう。しかし利上げか据え置きか、どちらになるか今回はわからない状況にある。

　ともかくトルコのインフレは今年になってかなりの勢いで進行している。昨年10月のインフレ率は11％台だったのだが、それからわずか10ヶ月で19.25％にまでなった。

　トルコリラは2018年8月に暴落し、その前後にはインフレ率が高騰。夏から秋にかけて20％を超えて最大で25％まで上昇したことがあった。今後インフレ率が20％を超えれば2018年以来となる。

　2021年になって世界的にインフレ傾向が強まっている。これは2020年にパンデミックのために一旦激減した財・サービスの需要が回復してきたことや、世界各国が実施している金融緩和。そしてパンデミックによってサプライチェーンが混乱していることなど複数の要因が絡んでいる。慢性的にインフレ率が高いトルコだけではなくアメリカやユーロ圏も最近はインフレになってきており、今後政府・中銀がどう対応していくかが問われる。