クラウドファンディング投資は有効か

最近は「クラウドファンディング投資」との名目で、資金を集めて海外不動産などに投資する形のファンドが増えている。このようなファンドは年間3～10％程度とやや高めの利回りを提供しているものが多いが、投資としてどこまで有効だろうか。

不動産市場の動向がカギ

　新NISAが始まったこともあり年が明けてから株式市場が暴騰しており、株式投資を含む投資人気がまた高まっている。今や各地で開かれる投資セミナーは盛況で、ネットでも町中でも投資を語る人々が増えた。

　そして最近では「クラウドファンディング投資」との名目で資金を集めて投資をするファンドが増えている。一般的な意味の「クラウドファンディング」とは個人が音楽やゲームなどの創作物、あるいは社会的に意味のある事業のためにネットを通して資金を集める仕組み。

　一方クラウドファンディングを利用した投資はネットを通して広く集めた資金を株式や不動産などに投資し、その配当金を毎月や毎年など一定間隔ごとに投資家に還元する仕組みになっている。いわば投資信託の私募版と言うこともできる。

　最近そのようなクラウドファンディング投資がネットで多く見られ、その多くは海外の不動産に投資をすると述べて資金を集めている。それらの利回りは年間3～10％程度と、依然銀行預金金利がほぼゼロの日本の基準で見ると高めに設定されている。また「預けるだけ！」と謳うなど、お金を預ければあとは投資家側は何もしなくても配当がもらえるという気軽さを売りにしている。

　このような投資はどこまで有効だろうか？あるいはどこまで信用できるだろうか？まず年間3～10％という利回りは、海外不動産に投資をすれば不可能な数字ではない。

　現在多くの国で不動産価格が上昇しているため、不動産を購入すればその後売却するにあたり売却益が期待できる。また購入した後個人や法人に貸し出すことで賃料が得られ、賃料で年間5～10％程度の利回りを出すことはできる。

　こうして見る限り海外不動産に投資をするクラウドファンディング投資は決して詐欺ではない。だが不動産市場がいつまでも上昇し続けるわけではない点がネックになる。

　現在は世界各国で地価が上昇しているので不動産投資は有効だが、それが下落に転じたらどうなるだろうか？地価が下がると、購入してから後日売却をした時に利益ではなく損失になる。

　そしてこのようなファンドは大抵が「元本は保証しておりません」と述べて、損失が出た際には必ずしも元本が返ってこない。中には「これまで元本割れ件数はゼロ」と元本割れがない実績を出しているところもあるが、今後不動産市場が崩れたら同じように上手く行くとは限らない。

　世界の不動産価格はかなり高い水準にあり、今後バブル崩壊のように一気に下落に転じる可能性は残る。実際に中国は数年前から不動産市場が崩壊し、デフレと景気後退に陥っている。海外不動産への投資も不動産市場が好調な時は良いが、不動産市場が崩れたら元本割れのリスクがあるのではないか。