カナダでビットコインETFが誕生へ

これまで米などで何度も申請されながら一度も承認されなかったビットコインのETF。しかし今週末に、カナダでビットコインのETFが承認されたという情報が流れた。ビットコインETFが上場されれば世界初の例となる。

過去に何度も却下

　仮想通貨が広まるにつれ、仮想通貨のETFや先物といった派生金融商品も広まってきた。そして派生商品が最も多いのはもちろんビットコインで、ビットコインの先物はアメリカのCME（シカゴ・マーカンタイル取引所）ですでに上場されている。

　その一方でビットコインのETFはこれまで世界のどこにも存在していなかった。もちろんビットコインのETFを組成して、当局に承認を申請する事例は多くあった。世界最大の金融市場を持つアメリカではビットコインETFにも積極的で、特に2017年後半から18年前半の仮想通貨ブーム当時は何度もビットコインETFが申請された。

　しかし米証券当局であるSEC（証券取引委員会）は、全て却下してきた。主な理由としては「ビットコインは価格形成に不透明な部分が多い」というものだった。さらに他国でもビットコインETFは承認されてこなかった。

　それが今週末になってカナダで承認されたという情報が流れた。承認されたビットコインETFを組成したのはトロントに本社を置く「パーパス・インベストメンツ」という会社。そしてETFは「パーパス・ビットコインETF」という商品名になっている。

　これでカナダという先進国で、世界で初めてビットコインETFが承認されたことになる。この意味は大きい。アメリカの証券当局などこれまでビットコインETFの承認に二の足を踏んでいた国も、今後はビットコインETFを前向きに考えるようになるかもしれない。

　実際ビットコイン価格が高騰しているので、アメリカではまた複数のビットコインETFが申請されている。しかしこれまでのところ、承認される可能性はまだ低いと見られてきた。

　ビットコインがETFとして買えるようになれば、投資家にとってもメリットがある。まずは仮想通貨取引所に口座を開かなくても、証券口座からビットコインが購入できるようになる点。

　そして税制面でもメリットがある。日本を例に挙げると、ビットコインの売買益はまだ総合課税で最高55％（＋少額の復興税、以下同）がかかるが、ETFなら株と同様に申告分離課税の一律20％で済む。また証券会社に特定口座を持っていれば、確定申告をする必要もない。

　カナダでビットコインETFが承認されたことによって、今後はアメリカ、そして日本でもビットコインETFが承認される道筋が見えてきたかもしれない。