エヌビディアは過去最高益も株は下落

著者鳥羽賢

2025年8月28日

27日のNY株式市場終了後に、エヌビディアが5～7月期の決算を発表。増収増益でかつ売上高・純利益とも過去最高という素晴らしい内容だったが、今後の米政府の政策の影響懸念などから発表後の時間外NY株式市場で同社の株は下落している。

来期の売上見通しは540億ドル程度

　エヌビディア（銘柄コード：NVDA）が、27日のNY株式市場終了後（日本時間28日未明）に5～7月期の決算を発表した。

エヌビディアはここ1～2年の世界的なAI（人工知能）の普及によって業績・株価ともに急上昇が続いており、7月には世界で初めて時価総額4兆ドル（約588兆円）を突破したばかりだった。それだけにその決算発表には世界中の市場関係者が注目していた。

　そして発表された決算内容によると、売上高は前年同期の300億ドル（現在のレートで約4兆4100億円、以下同じ）から56％増の467億4000万ドル（約6兆8700億円）で、市場予想の455億ドル（約6兆6900億円）を上回った。

　純利益は前年同期の166億ドル（約2兆4400億円）から59％増の264億2000万ドル（約3兆8900億円）。EPS（1株あたりの利益）は1.08ドルだった。

　しかしこれらの数字は、アメリカの正式な会計基準に基づいたGAAPベースの利益額。エヌビディアを含めた一部の米企業はGAAPベースの他に、非公式なnon-GAAPベースの数字も公表している。

　non-GAAPベースでの今期の純利益額は、前年同期の169億5000万ドル（約2兆5000億円）。EPSは1.05ドルで、市場予想の1.00ドルを上回った。これで今期の決算は増収増益となり、また売上高・純利益とも過去最高となる素晴らしい内容だった。

　来期・8～10月期の見通しについては、売上高は540億ドル（約7兆9400億円）から±2％。粗利率はGAAPベースで73.3％、non-GAAPベースで73.5％となり、それぞれ±0.5％の幅が提示された。営業費用はGAAPベースで59億ドル（約8,670億円）、non-GAAPベースで42億ドル（約6,170億円）とされた。

　増収増益で来期の見通しも良好な決算だったとはいえ、トランプ政権になってから中国向け半導体の売上の15％を手数料として徴収するという話も出ており今後の業績見通しに不透明性が残る。

　来期以降への不透明さと最近の株価の上がり過ぎ感を受け、決算発表後のNY時間外市場でエヌビディア株は下落。27日を181.60ドルで終えた同社の株は、時間外市場では一時3％以上下落したが日本時間午後10時半の28日のNY株式市場開始時間近くになってやや反発している。

　業績自体は素晴らしいものだったが、今後の成長にはやや不透明さが残る。エヌビディアが次の節目である時価総額5兆ドルにいつ到達するかが注目される。

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