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インドが仮想通貨の全面禁止を検討

user 著者 鳥羽賢
calendar 2020年6月15日

以前から仮想通貨に対する厳しい姿勢で知られていたインドが、最近になって国内における仮想通貨の使用などを全面禁止することを検討しているとの情報が流れた。14億人とも言われる人口を持つインドが禁止となれば、仮想通貨の発展にとっては大きなブレーキとなる。

以前から仮想通貨に厳しいインド

世界で仮想通貨が生まれて10年ほど経つが、世界各国の政府が無視できないほど大きな存在になったのは2017年後半の世界的な仮想通貨ブームからだった。

日本も2017年のブーム以前は政府がほとんど仮想通貨関連の法整備には動いていなかったものの、大ブーム時から翌年にかけて各種法律や規制を整備。仮想通貨取引所が登録制になったのも2017年だった。

日本は比較的仮想通貨に対して寛大な方だが、世界には仮想通貨そのものを強く規制しようとしている国も多い。そういった国の1つにインドがある。

インドは仮想通貨ブームの直後・2018年4月に、中央銀行が国内の金融機関に対して仮想通貨取引をすべて禁止すると命じた。しかしこの措置はその後合憲性をめぐって法廷に持ち込まれ、2020年3月には違憲判決が下された。

この時点でインドにおいて仮想通貨が禁止される見込みは一旦遠のいた。だが今週になって、今度は政府が仮想通貨の国内における使用を全面的に禁止する法案を検討しているという話が流れた。この情報はインド政府高官からの話として、先週末に報道された。

インドで仮想通貨が禁止となると、大きなダメージを受けるのはFacebookが開発している「リブラ」だ。リブラはもともとは世界中のFacebookと関連サービスのユーザーが、銀行口座がなくても決済や海外送金ができるサービスを目指していた。

ところが巨大すぎるFacebookが仮想通貨を発行したら影響が大きくなりすぎ、世界の金融秩序が崩れてしまう恐れがある。そのため各国政府は発表直後からリブラに対して強い懸念を表明し、最近は「リブラドル」など各国通貨にレートを固定した仮想通貨を複数発行する計画に修正した。

しかしFacebookは当初発表した形態でのリブラ発行をまだ考えている。FacebookはスマホメッセージアプリのWhatsAppを傘下に持っており、WhatsAppはインドで数億人のユーザーを抱えている。

いわばリブラの主要なターゲット層としてインド国内のWhatsAppユーザーを考えていたのだが、インドで仮想通貨禁止になるとそれが実現できなくなる。

中国もデジタル人民元は開発を続けており近い将来実現できると言われている一方、他の仮想通貨に対しては近年規制を強めている。中国やインドといった人口大国で仮想通貨への規制が強まると、仮想通貨の発展にとっては大きなブレーキとなりかねない。

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