アルゼンチン大統領選で極右候補が当選

週末19日に決選投票が行われたアルゼンチンの大統領選で、極右と言われるハビエル・ミレイ候補が当選した。ミレイ氏は「中央銀行は不要」など極端な考え方を持っており、今後アルゼンチンで大きな改革が行われることが予想されるが当選後のアルゼンチンペソはまだ大きく動いていない。

ペソ廃止も主張

　週末19日に南米のアルゼンチンで大統領選の決選投票が行われ、極右と言われるハビエル・ミレイ候補が約56％の得票率で当選した。

　今年になって世界的なインフレは収束に向かっているものの、アルゼンチンのインフレは全く収まらずむしろさらに悪化。最近のインフレ率は約150％にまで上昇した。インフレ抑制のために中央銀行は8月14日に政策金利をそれまでの97％から21％も引き上げて118％にすると発表し、10月12日にはさらに133％まで引き上げた。

　通貨であるアルゼンチンペソも暴落している。5年前の2018年後半時点では1ドル＝35ペソだったレートは、その後ペソ安が続き今年8月時点では280ペソ台に。8月15日には1ドル＝350ペソに切り下げ、大統領選まではその水準で固定すると発表した。

　対円でもペソは暴落しており、2018年後半時点では1ペソ＝3円だったレートは今年8月15日の切り下げで1ペソ＝約0.41円になった。

　このような厳しい状況で実施された今年の大統領選だが、10月22日の最初の投票ではミレイ氏の他に与党系のセルヒオ・マサ経済相、野党系で女性のパトリシア・ブルリッチ氏の3人の争いとなった。そして結果はマサ経済相が得票率37％で1位、ミレイ氏が30％で2位、ブルリッチ氏が24％で3位だった。

　それまでの世論調査ではミレイ氏がリードしていたのだが、大統領選では2位に終わった。しかし上位2名で11月19日には決選投票が行われ、ミレイ氏が56％、マサ経済相が44％でミレイ氏の勝利に終わった。

　ミレイ氏勝利が確定したのは、日本時間の20日月曜朝午前8時頃。しかし勝利の報道が流れても、ペソのレートはまだ大きく動かなかった。先週15日頃から8月に決められた1ドル＝350ペソのラインを超えて353ペソ付近で推移しているが、20日午前中に結果が報じられてもその後大きくペソ安には動いていない。

　ミレイ氏は中央銀行が不要との他に、ペソを廃止して米ドルやビットコインをアルゼンチンの法定通貨にするべきという考え方も持っている。このような考え方を持つミレイ氏の当選がビットコインにとっては買い材料となり、20日に日付が変わった時点では540万円台後半だったビットコインはその後上昇。午前8時過ぎにミレイ氏当選が報じられると一段高となり560万円を超えた。

　当選したミレイ氏が大統領に就任して今後どのような政策を取るかでアルゼンチンが大きく変わる可能性もあり、アルゼンチンと深い関係を持つ国にも大きな影響が出ることが考えられる。