アリババが上場来最安値に接近

24日のNY株式市場で中国IT大手のアリババ株が一時は20％暴落し、2015年につけた上場来最安値に接近した。今年になって株式市場全体が低迷しているとはいえ、アリババ株は市場の平均よりさらに大きく下がっている。

2015年の安値は57.2ドル

　ソフトバンクグループ（銘柄コード：9984）が株式を保有しているため度々日本のメディアでも取り上げられる中国IT大手のアリババ（銘柄コード：BABA）だが、24日のNY株式市場で株価が大きく下がった。

　先週21日を72.18ドルで終えたアリババ株は、週明け24日は序盤から大幅下落しNY株式市場開始の1～2時間後には前日比20％安の58.01ドルまで下落。その後中盤から終盤にかけてリバウンドし、終値は12.6％安の63.15ドルだった。

　そして24日の安値は、アリババ株の上場以来最安値に近い水準だった。アリババ株は超大型IPOとして鳴り物入りで2014年9月にNY株式市場に上場。上場初値は92.7ドルだった。

　上場後1～2年ほどは株価が伸び悩み、2015年9月には上場来最安値となる57.2ドルをつけた。しかし2016年頃からは株価が順調に上昇し、2020年10月には最高値の319.32ドルをつける。

　NY株式市場全体で見れば、FRBによる大規模緩和を受けて上昇トレンドは翌2021年まで継続した。しかし2021年春頃から、中国当局が自国のIT企業、特に海外で上場している企業に対する規制を強化する。

　中国の配車アプリ大手の滴滴出行（銘柄コード：DIDI）は、中国発の大型IPOとして昨年6月にNY株式市場に上場。だが中国当局からの圧力がかかり、わずか1年後の今年6月には上場廃止になった。

　このような状況を受けアリババ株も2021年から今年にかけて下げが続き、今週24日にはすでに述べたように一時58.01ドルまで下落。2015年9月につけた上場来最安値まであと1ドル未満に迫った。

　ところで先週末には中国の習近平国家主席兼党総書記が、3期目に選出された。中国共産党で同一人物が3期目に選ばれるのは異例と言われる。市場関係者の中には、24日のアリババ株安はこの動きを市場が嫌気したためではないかと見る者もいる。現に24日はアリババ株以外にも、NY市場の中国株で下落したものが多かった。

　しかしここまで来ると、アリババ株が上場来最安値を更新するのは時間の問題のように見える。ソフトバンクグループはアリババ株を大量に保有し、それを担保にして資金を調達するなどアリババ株に依存してきた。そのアリババ株の株価が下がると、ソフトバンクグループの経営への影響は大きくなる。