もはや崩壊したテスラバブル

12月になってテスラ株の下げが続いているが、27日には12月で最大の下げ率となる11％安で終了した。2020年後半から21年にかけてNY株式市場で最も高騰した株として話題になったテスラだが、すでにそのバブルは崩壊したように見える。

12月はすでに44％安

　12月になってテスラ株（銘柄コード：TSLA）は急落が続いている。そして27日のNY株式市場開始前に、「テスラが上海工場で1月に減産を行う」との情報が流れた。この情報によってテスラの業績懸念が高まり、この日のテスラ株は序盤から軟調な展開。11.4％安の109.10ドルで終了した。

　これでテスラ株は16日から数えて7営業日連続安となり、時価総額は約3,450億ドル（約46兆円）にまで下がった。11月の終値は194.70ドルだったので、12月のこれまでの下げ率は44％にもなった。まだ12月は終わっておらず28～30日の3日間が残っているが、このまま44％安で終わるとしても1ヶ月でここまで下げたのは2010年の上場以来初となる。

　上場以来最高値は2021年11月につけた414ドル（今年8月に3分割をしたので実際の株価は1,243ドル）なので、最高値からすでに約4分の1にまで暴落した。

　それにしてもテスラはなぜここまで下がってしまったのだろうか？もちろん今年に入ってからの株式市場全体の地合の悪さも大きい。今年になってからインフレ抑制のためにFRBは緩和を止めて引き締めに転換したことで、株式市場は去年までのようなバブル相場ではなくなった。

　しかし最近の急激な下げは、イーロン・マスクCEOがTwitterを買収したこととその経営の迷走によるところが大きい。そして約6兆円にもなるTwitter買収の資金を捻出するために、マスク氏は春から最近にかけてテスラ株を何度か売ってきた。それがテスラ株の売り材料になっている。

　ただしテスラの業績自体は決して悪くはない。最新の2022年7～9月期の決算では、売上高は214億ドル（約2兆8500億円）で過去最高だった。また純利益も30億ドルを超えており過去最高に近い水準にある。

　この3ヶ月間の納車台数も34万4000台で過去最高だった。このように業績はまだ堅調なので、業績主導の株安ではない。

　結局は2020年後半～21年があまりに買われ過ぎの「バブル」だったと見ることができる。テスラはピーク時にはトヨタ自動車（銘柄コード：7203）の数倍の時価総額を持っていたが、販売台数ではまだトヨタの10分の1程度でしかなかった。

　予想PER（株価収益率）を見ると、去年後半にはテスラは160倍にも達していた。現在のトヨタや日産などの予想PERは10倍付近なので、それらと比べても異常に高かった。

　やはり去年までのテスラの株価はバブルだったと言ってもいい。最近のテスラの下げは、業績悪化のためではなくバブルが弾けて適正株価に戻りつつある動きと見ることができる。