まだしばらく続きそうなGMのストライキ

アメリカの大手自動車メーカー・GMで、今週になって5万人近くの労働者がストライキを行っている。そして3日目になっても労使の合意にはほど遠い状態で、今回のストは長引くのではないかという懸念が広がっている。

前回のストは2007年

アメリカの大手自動車メーカー・GM（ゼネラル・モーターズ）で、今週16日から労働者によるストライキが始まっている。今回参加しているのはGMの31工場で働く約4万8000人と言われており、ストとしてもかなり規模が大きい。

ストに入った理由は、多くの労使問題にあるように労働者の雇用やその他条件について雇用者側と隔たりが大きいためだ。GMは労使間のルールを定めた労働協約を4年に1度改定することになっており、今年はその改定の年にあたる。

今回の交渉で労使が合意していない点は多いのだが、1つの大きな問題が工場の閉鎖にある。ストの数ヶ月前に経営者側は国内のいくつかの工場を閉鎖し、そこで働いている労働者を解雇すると表明。しかし労働組合側はそれに反対し、撤回を求めている。

経営者側はその代わりに今後70億ドル（約7500億円）の投資を行い、5400人の雇用を創出する計画を提示したが、組合側はそれにも満足しなかった。また工場閉鎖問題の他にも、健康保険の面などで労使の隔たりが大きく、合意に達することはできなかった。

そのため16日になって組合側がついにストに突入。そのまま3日目となったが、その間ストが行われている31工場では自動車の生産が全く行われていないという。また組合側はピケも張っている。ピケを張るとは、スト中に勝手にストを破って仕事に戻る労働者がいないように、会社の入り口などで見張りを立てること。

GMの大規模ストは2007年以来12年ぶりとなる。2007年当時は参加者が約7万3000人で、影響のあった工場数は89と今回より規模が大きかった。このストは9月24日に始まったが、わずか2日後の9月26日には労使が合意して終了した。

今のところストのGM株への影響は、出てはいるがそれほど大きくないというレベルに留まっている。スト開始前の13日のNY株式市場では、GM株は38.86ドルで終了。そしてスト初日となった16日には、4％以上下落して37.21ドルで終了した。しかし17日には38.29ドルまでリバウンドしている。

このストが続くと、1日ごとにGMは1億ドルの損失になるという試算も出ている。また労働者側もスト中は賃金がもらえないため、長引くと生活が困窮する者も出てくる。労使どちらにとってもストの長期化はダメージになるのだが、どちらも労働協約の条件を譲れないため、ストが終わる気配はまだ感じられない。