またも中国関連株が規制材料で大幅下落

今週になって中国の中銀関係者が、中国内の証券業の免許なしで中国人に対して証券仲介業を提供しているオンライン証券を「違法」と発言し、今後の規制を示唆した。この発言を受けてNY株式市場に上場していた中国系のオンライン証券株が暴落した。

過去にも同様の暴落

　今週の28日木曜に中国の中銀幹部が、中国で証券業の免許を取得していないのに中国居住者に対して証券仲介業を提供しているオンライン証券について、「違法な行為にあたる」と発言したとの情報が流れた。このようなオンライン証券は規制がかけられるのではないかと以前から噂されていたが、その可能性が高まった。

　発言を受けて、NY株式市場に上場していた中国系オンライン証券株が暴落した。そのような企業の1つ・富途控股（銘柄コード：FUTU、フートゥー・ホールディングス）の27日の終値は67.02ドルだった。

　しかし28日午前頃に中国中銀幹部の発言が報道されると、時間外市場で30％以上暴落して45ドル付近に。そして28日夜にNY株式市場が始まると、開始直後には前日終値より25％ほど安い50ドルをつけ、その後は反発して終値は13％安の58.47ドルだった。翌29日も8.5％安の53.52ドルまで続落した。

　同様の業務を行う向上融科（銘柄コード：TIGR、アップ・フィンテック・ホールディング）も同様の動きを見せた。27日を8.85ドルで終えた同社の株は、28日の開始直後に20％安の7.07ドルまで下落。その後は多少反発しこの日の終値は17％安の7.34ドルだったものの、29日には12％も続落して6.47ドルで終了した。

　中国当局の突然の規制、あるいは規制の示唆によって株価が暴落した中国関連株はこれが初めてではなく、これまでにも何度も同様の暴落があった。

　中国は今年7月になって、国内の民間教育企業を全て非営利団体にするよう命令。この命令によって学習塾などの産業はこれまでのような営業ができなくなってしまった。そのためNY株式市場に上場していた学習塾・オンライン教育サービス企業のTALエデュケーション・グループ（銘柄コード：TAL）は、7月23日の株式市場で前日の20ドル台から70％も大暴落して6ドルで終了した。

　その後3ヶ月経っても反発は見られず、10月29日の終値は4.09ドルと今年の最安値だった。もはやTALエデュケーションは、7月の政府の命令によって死んでしまったかに見える。

　中国は日米などの国と違って政府が強い権力を持っているので、いつどのような規制が各業界に入るかわからない。中国株を取引するなら突然の規制で暴落するリスクを前提にしないといけないということだ。