すっかり金に差をつけられたプラチナ

すっかり金に差をつけられたプラチナ

著者 鳥羽賢
2020年07月9日

世界経済への不透明さを背景として、金価格の上昇が続いている。その一方でかつては「金より貴重な金属」と見られていたはずのプラチナの価格が伸び悩み、最近ではプラチナ価格と金価格に2倍以上の差がついている。

一時はプラチナが金の2倍

株式市場は6月になって一進一退を繰り返しており、方向感のない相場が続いている。その一方で6月以降に大きく上昇しているのが金だ。NY市場の金価格は最近になって1オンス=1,800ドルを超え、2011年以来約9年ぶりの高値をつけた。


NY市場の取引単位として使われる1オンスは約31g。NY金の史上最高値は同じ2011年につけた1,920ドルでありまだ史上最高値更新までにはやや時間がかかりそうだが、現在のような上昇が今後も続けば更新も十分考えられる。


一方でかつては「金より貴重な金属」と見られていたプラチナ(白金)は、それほど伸びていない。NYプラチナは7月上旬現在で1オンス=900ドル弱の水準で推移しているため、単純な比較で金価格とは2倍以上の差をつけられている。


1gを1単位として取引される東京先物市場でもほぼ同じで。7月9日現在の東京金は1g=6,200円台、東京プラチナは1g=3,000円弱と同様に2倍以上の差がついている。


金よりプラチナの方が高価だったのは単にイメージ上だけではない。クレジットカードなどはゴールドカードよりプラチナカードの方が格上だし、各種会員制度も「ゴールドメンバー」より「プラチナメンバー」の方が上級会員であるものがほとんどだ。


そして市場でも実際にプラチナの方が遥かに高い時代があった。リーマン・ショックのあった2008年には、NY金の価格は1,000ドル付近だったがNYプラチナは2,000ドルと逆にプラチナの方が金の2倍ほど高かった。


なぜここまで金が台頭し、プラチナは凋落してしまったのだろうか?大きな理由としてプラチナの実需面が落ち込んでいることが考えられる。プラチナは単に価値物というだけではなく、ディーゼル車の排ガス触媒として利用されている。


ところが2015年にドイツのフォルクスワーゲン(VW)がディーゼル車の排ガス試験で不正を行っていた事件があった。この事件以来ディーゼル車に対する信頼が暴落し、世界的にディーゼル車のシェアが落ち込んでいる。


そのため触媒としてのプラチナの需要が低下し、それが価格下落につながった。一方で世界経済に対する不透明性は2019年頃から広まり、2020年のCOVID-19パンデミックでさらに拡大した。それが金価格の高騰につながり、2倍もの差になったと思われる。


これからはクレジットカードや会員制度でも、「ゴールド」の方が「プラチナ」より上級として扱われる時代になるのかもしれない。

 

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