いよいよ大企業の破綻が始まった

COVID-19は拡大開始から2～3ヶ月経っても終わりが全く見えない。そして世界中で経済活動が止まっているため、大企業から中小企業まで幅広い規模・業種の企業で経営が極度に悪化している。そして最近になって、これまでなんとか持ちこたえていた大企業の破綻が始まっている。

百貨店や航空会社が倒産

COVID-19（新型コロナウイルス）は、1月になって報道されるようになり、2月には中国で猛威を振るい、3月以降には世界中に拡がってパンデミックになった。そしてパンデミックは4月になっても全く終わる気配がない。

台湾、韓国、ニュージーランドなど上手く封じ込めている国も一部にあるものの、欧米を初め多くの国ではロックダウン（封鎖）をしても新規感染者数や死者がそれほど減っていないのが現実だ。イタリアやアメリカなどはこれ以上経済を止めておくわけにはいかず、収束していないが経済活動再開の方向に向かっている。

欧米や日本は経済活動が本格的に止まり始めて1ヶ月余りが経った。この間だけでも中小企業はかなり倒産しており、日本で「コロナ関連倒産」と報道されているものは60件を超えた。だがもちろん、報道すらされない小規模の倒産なら他にも数多く存在する。

それでも体力のある大企業は、ここまでそれほど倒産せずに持ちこたえてきた。しかしここにきて、大企業の倒産が続けて報道された。

まずはアメリカの高級百貨店であるニーマン・マーカス（以下、「マーカス」）。マーカスは1907年から100年以上続いてきた米百貨店の老舗で、現在ではアメリカ国内に42店舗を構えている。

しかし他の多くの百貨店のように、近年はAmazonなどネットショップに押されて売上が伸び悩んでいた。そこにきて今年のCOVID-19大流行となったため、売上が激減しもはや倒産は避けられなくなった。マーカスは日本の民事再生法に該当する連邦破産法第11条の適用を、今週中にも行うと見られている。

今週になって破綻したもう1つの大企業は、豪航空大手のヴァージン・オーストラリア（以下、「VA」）。VAは2000年にLCCのヴァージン・ブルーとしてスタートしたが、2011年には現社名に変更し格安路線だけではない本格的な航空会社となった。創業からわずか20年だが、2018年度の売上は54億豪ドル（約3,700億円）で、豪州内ではカンタス航空に次ぐ第2位の航空会社となっていた。

だがCOVID-19のパンデミックによって旅行客が急激に減少したため、すぐに経営に行き詰まり4月20日には日本の民事再生法に相当する任意管理手続きの適用を申請すると決定した。

大企業が破綻すれば、その影響は中小企業よりも遥かに大きい。職を失う社員の数も多いし、負債額や債権を持つ企業の数も桁違いに多い。そのため債権を持っていた企業の中には回収不能になり、それがきっかけで倒産するところも出てくる可能性がある。いわゆる連鎖倒産というものだ。

そしてマーカスの方は、50％の株主がカナダの年金組合となっている。当然ながらマーカスが破綻すれば、カナダの年金財政に少なからず影響を与えることになる。このようにCOVID-19を原因とした負のサイクルは世界でどんどん広がりつつあり、パンデミックが終息しない限りこれからもどんどん倒産する企業は増えていくことは間違いない。