いよいよ住宅ローン金利上昇を要警戒

今年になってから一段と円安が進行し、GW中には日銀が2回の介入を行っても止まらずまた1ドル＝160円に近付いている。この状況で日銀への利上げ圧力は日々高まっており近い将来追加利上げが行われる可能性がある。そして日銀が金利を上げれば住宅ローン金利も上昇することになる。

固定金利はすでに上昇

　為替市場では今年になってから円安・米ドル高が止まらない。GW中には一時1ドル＝160円をつけ、日銀は2回の介入を行った。ここで一旦は151円台まで円高になりようやく円安も一息つけると思われたが、その後はまたジリジリと円安が進み介入から2ヶ月も経っていない先週21日にはまた160円に接近した。

　今後160円を超えて円安が進行するようなら、政府日銀はまた介入をする必要に迫られるだろう。しかしアメリカのイエレン財務長官は介入をけん制する発言を何度も行っているし、介入のためには原資の米ドルが必要になりそれは無限ではない。今後日銀ができる介入の回数・頻度はかなり限られる。

　そうなると円安を止めるためには日銀は利上げをする以外なくなる。利上げをすると政府の膨大な債務の利払いが増えたり、変動金利で住宅ローンを借りている層が苦しくなるなど弊害も多い。また単純に利上げをすると景気は冷え込むのがセオリーであり、今年1～3月期にマイナス成長だった日本としてはできれば避けたいところだ。

日銀は6月14日の発表で国債買い入れの減額方針を発表したが、それでも円安は止まっていない。もはや円安を止める手段は利上げ以外にほぼなく、日銀に利上げを求める圧力は日に日に高まっている。

　この状況では遠くない将来に日銀が追加利上げを行う可能性は十分考えられる。そうなると気になるのは住宅ローンへの影響だ。住宅ローンには大きく分けて固定金利と変動金利がある。

　住宅ローンの固定金利は長期金利によって影響される。日本の長期金利は2019～20年頃を底にその後はだんだんと上がっており、今年5月後半には13年ぶりに1.1％をつけた。長期金利高を受けて住宅ローンの固定金利はすでに上がってきている。

　固定金利はすでに借りている層は影響を受けず、これから借りる層は借りる前に金利を確認できる。しかし問題は返済期間中に金利が変わる変動金利だ。

　住宅ローンの変動金利は短期金利、つまり短期プライムレートによって決まる。そして短期プライムレートは日銀の政策金利である無担保コール翌日物金利で決まる。つまり将来日銀が政策金利を引き上げると発表すると、すぐに住宅ローンの変動金利も上がることになる。

　日本は2006～08年頃に政策金利を0.5％だけ引き上げたことがあったが、その後現在まで16年間ゼロ金利を続けてきた。国民もそれに慣れてしまい住宅ローンは変動金利で借りておけばお得で、金利が上がることはないとの考えが定着した。

　だが円安・インフレが進行している今は状況が違う。現在の状況では日銀も重い腰を上げて利上げをしないといけない状況であり、2008年以来ずっとゼロだった政策金利が引き上げられる可能性がある。そうなると住宅ローンの変動金利は必ず影響を受け上がっていくことになる。

　同時に利上げは長期金利上昇にもつながるため、固定金利も一段と上昇する可能性が高い。今後は住宅ローン金利の上昇に警戒が必要になる。