いよいよ世界恐慌レベルの不況がくるか!?

8日午後9時半にアメリカの4月雇用統計が発表され、前月比2,050万人減という空前の減少幅だった。4月失業率も14.7％と前月から10ポイント以上悪化しており、雇用指標だけ見るとすでに1930年代の世界恐慌にも匹敵する不況に入ってきているように見える。

雇用者・失業率ともに戦後最悪

8日午後9時半にアメリカの4月雇用統計が発表され、予想の前月比2,200万人減に対し発表は2,050万人減だった。また同時に発表された4月失業率は、予想が16.0％だったが発表は予想よりやや低い14.7％だった。予想より低かったとはいえ、前月の失業率は4.4％だったので1ヶ月で10ポイントも悪化した。

このような数字はもちろんアメリカ史上でも最悪レベルになる。2008年のリーマン・ショックから翌09年にかけて米雇用状況は急速に悪化したが、それでも最も雇用者数が大きく減少した月は2009年3月の69万9,000人減だった。

またそれ以前に遡って見ても、最も減少幅が大きかったのは1945年9月の195万9,000人減だった。ただしこの月は第2次大戦終了直後にあたり、大戦への兵士動員が終わったという特殊な事情があった。そして統計が残っているのは1939年以降で、1930年代の世界恐慌時代の数字はない。

失業率もリーマン・ショック直後は最大で10％まで上昇し、さらに戦後最高だったのは1982年11・12月の10.8％だった。今月の数字は14.7％となり、戦後最悪の数字をあっさりと更新した。

世界恐慌当時は、米失業率は最大で23％にまで上昇した。4月の数字が14.7％でまだその記録には幅があるが、雇用指標はすでに世界恐慌の入り口に立ったと言ってもいいほどの数字だ。

鉱工業生産も世界恐慌時代は年10％ほどの減少だった。では最近発表された、あるいは近い将来発表を予定されている今年の主要国の鉱工業生産はどうか。4月30日に発表された日本の3月鉱工業生産は、前年同月比で－5.2％だった。5月7日に発表されたドイツの3月鉱工業生産は、前年同月比－11.6％。同じ日に発表されたフランスの3月鉱工業生産指数は、前月比－16.2％だった。

5月13日に発表される予定のイギリスの3月鉱工業生産指数は、前年同月比－9.2％が予想されている。同じ日に発表されるユーロ圏の3月鉱工業生産指数は、前年同月比で－11.2％が予想されている。そして5月15日に発表予定のアメリカの4月鉱工業生産は、前月比－11.0％と予想されている。

経済指標が軒並み世界恐慌当時の数字に近くなっているにもかかわらず、株式市場は3月下旬以降上昇に転じている。これは悪いことではないが、世界恐慌当時も1929年10～11月に有名な大暴落が起こった後、数ヶ月間は株式市場がリバウンドしていた。だから今上がっているからといってそれほど楽観的にはなれない。

今後世界経済が本物の恐慌になるかあるいは立ち直るかは、COVID-19が収束するか否かにかかっている。収束せずにまだ1～2年続くようだと、1930年代の世界恐慌並みの不況になる可能性もある。