【為替】FXのレバレッジ規制を巡る議論の現状

筆者 鳥羽賢 |

金融庁ではFXのレバレッジに関する議論が進んでいる。

 昨年に「金融庁がFX取引のレバレッジ上限を、これまでの25倍から10倍に引き下げることを検討」と報じられた。そして今年になってレバレッジ規制引き下げの是非を検討するための有識者会合が、すでに行なわれている。そこではどのような議論が行なわれたのだろうか?

 

有識者会合が2回開催

 

bitcoin 「FXのレバレッジ上限が10倍になるかもしれない」という報道が去年流れ、それ以来FX業界や投資家は政府の動向に神経質になっている。そして今年になって金融庁による「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」という会合が、2月と3月に行なわれた。ここでの議論に基づいて、金融庁はFXのレバレッジ上限を引き下げるかどうかの最終的な決定を下すと思われる。

 この会合の第1回は、2月13日に開催された。まず参加者から確認してみると、座長を務めるのは池尾和人慶応大学教授。そしてメンバーが7名いるが、こちらは勝尾裕子学習院大学教授など、FX業界の関係者ではない者ばかりだ。教授など学術関係者が多いが、弁護士もいる。

 その他にオブザーバーとして呼ばれている者が8名おり、この中にはFX業界の関係者が含まれる。FX業界から呼ばれているのは、GMOクリック証券、SBI証券、セントラル短資FXの社長たちだった。

 第1回目の会合では「事務局説明」と称し、配布された資料に基づいてメンバーが日本のFX業界の現状について説明を行なった。その中で興味深い内容としては、2010・11年のレバレッジ規制導入後の店頭FX取引の取引高の変化がある。

 日本では2010年夏に50倍、11年夏に25倍とレバレッジ規制が導入された。2010~11年には取引高は2,000兆円程度だったものが、2015~16年には5,000兆円と増加している。つまりレバレッジ規制を導入しても、FX業界の縮小にはならず逆に業界は成長を続けていると見ることができる。

 ただしFX業者数の方は近年淘汰が進み、2007年には119社あったものが、2016年には53社と激減していた。この会合では、業界の現状について説明があった後簡単な議論や質疑応答を行って閉会となった。

 そして次に第2回会合が3月12日に開催され、今度は「関係者からのヒアリング」として、FX業界関係者からの意見を聞く回となった。

 FX業界にとってはレバレッジ上限が下がると投資家のFX離れにつながりかねないために、ここではFX業界の代表者は「レバレッジ上限の引き下げは特に必要ない」と示唆する発言が多かった。SBI証券からの出席者は、FX以外のレバレッジ取引としての日経225先物のレバレッジが30倍程度であることを述べ、現状の25倍というFXのレバレッジは十分に低いと発言していた。

 第2回もFX業界の関係者からヒアリングをした後、議論や質疑応答を行って終了した。まだ2回行なわれただけで、この検討会は今後も3~4回行なわれる予定となっている。そして全てが終了したら、金融庁は議論の内容に基づき、FXのレバレッジをどうするか判断すると思われる。

 これまで2回の内容から金融庁の判断は見えてこないが、FXに関係している者にとっては今後の進展がかなり気になるところだろう。



この書類に含まれる素材はiFOREXではなく、独立した第3機関により作成されたもので、いかなる場合においても、直接的・間接的、明示的・暗示的にかかわらず、投資に対する助言や、金融商品に関する投資戦略の推奨、提案として解釈すべきものではありません。この書類に含まれる過去の実績や、それに基づくシミュレーションは将来の成果を保障するものではありません。すべての免責事項はこちらをクリックしてご確認ください。

筆者について
鳥羽賢

慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。ポータルサイト『オールアバウト』では、「世界のニュース・トレンド」テーマなどで、数年間政治・経済ニュース記事を執筆。FXの専門誌『月刊FX攻略.com』でも各通貨ペアの特徴解説など、FX攻略記事を執筆した経験がある。主な著書に、『とにかくわかる! FX超入門者』(すばる舎)などがある。翻訳活動も行い、FX投資教材の翻訳を中心に、金融分野の翻訳実績も多数。自身でも投資を行い、FXのトレードも2006年以来7年以上にわたって継続している。